昨日ホームで行われたJ1リーグ第29節FC東京戦は、アルスランのハットトリックで連勝を7に伸ばし、第3節以来半年ぶりに首位に立ちました。
アルスランが4試合ぶりに先発して、サンフレッチェは以下の布陣で戦いました。
大迫
中野 荒木隼 佐々木
川辺 松本泰
(→塩谷56分)
新井 東俊希
(→越道67分)
満田 アルスラン(→Dヴィエイラ67分)
(→中島67分)
加藤
SUB:川浪、イヨハ、茶島
対するFC東京は前節から3人入れ替えて、GK:野澤大、DF:中村、土肥、森重、白井、MF:高(→東慶悟71分)、小泉、荒木遼(→遠藤64分)、FW:ディエゴ・オリヴェイラ(→小柏71分)、仲川、エヴェルトン・ガウディーノ(→俵積田64分)、と言うメンバーでした。立ち上がりの1分、大迫のパスをカットされてディエゴ・オリヴェイラに決定的なシュートを大迫がセーブする、と言うシーンがありましたが、しかし先制点は広島。前半4分、満田のクロスを加藤が折り返したボールは弾かれたものの、高のコントロールミスを奪ったアルスランがDFの股抜きのシュートを決めました。
これで勢いのついた広島は、ボールを支配して相手陣内に攻め込みます。6分には佐々木のクロスに新井が飛び込んだもののDFがクリア。8分の新井のクロスは加藤にわずかに合わず、10分の加藤のミドルは枠外。19分にはCKに中野が合わせましたがGKが反応します。飲水タイム後にはFC東京に攻め込まれたものの押し返すと、前半31分には右サイドでのパス交換から加藤がクロス。これははね返されたものの、こぼれを右のスペースで拾ったアルスランがGKの股を抜くシュートを決めて、リードを2点に広げます。その後は広島が41分にカウンターから満田がシュートしたのに対して、42分にはFC東京のエヴェルトン・ガウディーノの強烈なミドルを大迫が危うく弾くなどお互いにチャンスを作ったものの得点は生まれず、2-0のまま前半を折り返すことになりました。
後半もお互いに持ち味を発揮して攻め合います。8分には東京のカウンターからエヴェルトン・ガウディーノがシュートしましたが枠外。12分にはCKからの森重のヘッドをゴール前で仲川がコースを変えましたが枠外に外れて助かります。流れがFC東京に傾きつつあった後半14分、左サイドのパス交換でポケットに抜け出した松本泰が股抜きでペナの中に入り込むと高がたまらずファウル。得たPKをアルスランがGKの飛んだ方向と逆に蹴り込んで、3点差としました。
この後も20分に新井の決定的なシュートや26分のドウグラス・ヴィエイラのミドルなどで追加点を狙う広島。逆にFC東京は鋭いパス回しと俵積田、小柏の推進力で反撃に出ます。前からのプレスが嵌まらず押し込まれる広島。特に右サイドはなかなかボールが奪えず危ないシーンを作られます。33分には俵積田のドリブルからのクロスに飛び込んだ小柏に決められて1点返されると、45分にはショートコーナーから仲川に持ち込まれ、クロスが東俊希に当ってゴールが決まってしまいます。ヒートアップするスタジアム。しかし広島は48分に加藤が決定機を作ってCKをもらい、敵陣でパスを回して時計を進めます。FC東京も最後のパワーを出して来たものの広島もはね返して、1点のリードを保ったままで試合終了のホイッスルとなりました。
ハットトリックで広島に勝利をもたらしたトルガイ・アルスランですが、1点目のDFの股抜きシュートは自ら「スペシャルショット」と呼んでいるとのこと。また2点目のGKの股抜きも「GKも体をかなり大きく見せないと防げないので、手も足も広げてくる。そういう予測はありました」ことによるものだそうです。リーグ戦5試合に出場して5ゴールのアルスランには「紫の魔法使い」のニックネームが定着していますが、決して魔法を使っているわけではなく技術と思考で「必然」のゴールを生み出していることが分かります。インタビューでは満田、泰志、加藤を高く評価していますが、逆にアルスランのプレーによって周りの選手の成長してきている、のも間違いないところ。この試合の後半の後半はFC東京に押し込まれて2点を失いましたが、チーム全体がアルスランのプレーから学んで成長することが、今後のチームにとって重要なのかも知れません。
因みにこの試合は台風10号の影響でFC東京は新幹線の移動を途中で断念し、当日の朝に羽田から山口宇部空港に飛んでバスで広島入りしたそうです。またFC東京のサポーターも移動ができず、泣く泣く観戦を断念した人も多かったとのこと。試合開催の可否はJリーグの判断ではあるのですが、それに向けてFC東京のスタッフと選手たち、そしてサポーターが最大限の努力をしたからに間違いありません。それを受けて広島側も試合前にはFC東京の選手たちを拍手で迎え、試合終了後にはサンフレッチェの選手たちがFC東京側に挨拶に行き、それに対してFC東京のサポーターも拍手を返してくれたそうです。天候などの不可抗力が原因でベストコンディションで試合を迎えることができない、と言うのはどのチームにも起こりうること。実際に広島は全てのアウェイが遠隔地なので、常に同様のリスクを抱えているわけです。そんな中でお互いの関係者がこの試合の開催に向けて最大限の努力をし、結果として素晴らしい試合が展開できたこと、そしてそれをお互いにリスペクトしあったことは、両チームが誇るべきことだと言って良いのではないでしょうか。
今節は町田が引き分けたことにより、サンフレッチェは勝ち点で並び得失点差で首位に立ちました。第22節終了時点では首位・町田と12の勝ち点差が開いていたことを考えると、わずか7試合でその差をひっくり返したのは奇跡的な結果だったと言って良いでしょう。ただ、そのような良い流れがいつまでも続くことはないのが長丁場のリーグ戦。特にサンフレッチェは今後リーグ戦に加えてACL2、ルヴァンカップ、天皇杯の4つのコンペティションを戦わなければならないだけに、勝負はまだこれから、と言って間違いありません。8月の再開以降はほぼメンバー固定で戦ってきたサンフレッチェですが、さすがにこのまま続けることはできません。となれば、この試合で途中出場した選手だけでなく、それ以外の選手も含めた総力戦で戦わなければならないのは必定。来週から3週間は週2試合の過密日程が続くだけに、これまで以上にチーム一丸となって、これらの戦いを乗り越えなければなりません。
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