昨日エディオンスタジアム広島で行われた天皇杯3回戦は、延長に入ってからのパトリックの3ゴールで名古屋を突き放してラウンド16に進出しました。
先発メンバーは川崎F戦から9人入れ替えて、以下の布陣で戦いました。
林
馬渡 千葉 水本 川井
(→稲垣76分)
川辺 吉野
東 Fシウバ(→青山62分)
(→柏ex0分)
ベリーシャ 工藤
(→パトリック66分)
SUB:中林、野上、ティーラシン
対する名古屋はリーグ戦から全員入れ替えて、GK:渋谷、DF:櫛引、新井、秋山、菅原、MF:長谷川、八反田(→中谷68分退場91分)、和泉、石田(→兵藤64分)、FW:寿人(→梶山97分)、深堀(→ジョー74分)、と言うメンバーでした。試合は立ち上がりにいきなり動きます。前半5分、川辺が右のスペースに出た馬渡からのリターンを受けると高い位置からクロス。これを逆サイドで待ちかまえていた工藤が頭で決めて、広島が先制点を奪いました。
その後もしばらくは広島のペースで、7分にはベリーシャが遠目から狙いましたが枠外。その後も高い位置の守備でボールを奪って、速攻から何度もチャンスを作ります。またプロの試合に初めて出場した東も精度の高い左足を武器にチャンスに絡みましたが、しかしコンビネーションの乱れや判断ミスなどでチャンスを逃すと逆に17分、左サイドを石田に破られ低いクロスを深堀に決められて同点に追いつかれてしまいました。
その後は名古屋も落ち着きを取り戻して、正確なパスの繋ぎと機を見たドリブルで広島陣内に攻め込みます。広島もDFラインからサイドに展開して攻撃の形を作ろうとするものの、なかなか前線に収まりません。前半39分にはクリアボールをベリーシャがカットしループで狙いましたが枠外。45分にはフェリペ・シウバがFKを直接狙いましたが枠を大きく外します。そのような流れは後半も同様で、広島はミスが多くなかなか形を作れません。6分には川辺が左のスペースに出したものの合わず、逆襲から深堀に危ういシュートを打たれます。また後半9分にもフェリペ・シウバのバックパスを奪われ名古屋がチャンスを作り、15分にはペナルティエリア内で菅原がフリーになりましたが千葉が間一髪でブロックします。流れを変えようと城福監督は青山をボランチに据えて川辺を左サイドに出し、更に前線にパトリックを投入します。そしてこれによって流れは広島に移り、25分のパトリックや27分のベリーシャ、33分のパトリックなど前を向いて仕掛けるシーンが続きます。37分にはパトリックが遠目から狙ったもののGK正面。41分には東のクロスをベリーシャが頭で逸らせてゴールを狙いましたがGKが弾き、そのボールもバーに防がれます。44分には川辺が左からカットインして右足で狙ったもののGKがキャッチ。逆に名古屋もCKの連続から広島ゴールに迫りましたが、林を中心にはね返します。結局90分では決着はつかずに、延長戦に突入することになりました。
じりじりした展開の90分間でしたが、しかし延長に入るといきなり試合は動きます。立ち上がり早々にベリーシャのパスでパトリックが抜け出すと、中谷が思わず後ろからのタックルで倒して一発退場となります。これで引いて守らざるをえなくなった名古屋に対して、広島が攻撃のギアを上げます。7分にはショートコーナーから馬渡が決定的なシュートを放ったもののポストに弾かれ、こぼれ球を青山が打ったものの枠外に外れます。そして延長前半9分、ベリーシャのパスを受けたパトリックがドリブルでゴール前中央に進むと、DFの間を割ってシュート。これが見事にゴールネットに収まって、広島が勝ち越し点を奪いました。
その後も広島がゲームを支配して、11分には青山がフリーで打ったもののGKにブロックされ、馬渡のシュートもGKがセーブします。13分にはジョーのポストプレーから兵藤に危ういシュートを打たれましたが、広島も14分に川辺がGKと1対1になるなどチャンスを作ります。そして延長前半15分には川辺が右サイドからクロスを送ると、逆サイドに飛んだパトリックが頭で押し込んでリードを2点に広げます。更に後半11分には相手GKのパスを奪ったパトリックがGKの頭越しにゴールネットに沈めて決定的な4点目。最後はジョーと兵藤のコンビでピンチになったものの枠外に外れて、4-1で広島の勝利となりました。
リーグ戦から中2日、次節までも中2日と言うことで、サンフレッチェはGKとCB以外はターンオーバーで戦いました。そして立ち上がり早々に右サイドのコンビネーションで崩して先制点を奪うなど、序盤の出来は良かったと思います。しかしそれが良かったのか悪かったのか、その後はミスの多い流れとなり、逆に相手の若手選手の溌剌としたプレーから失点して試合を難しくしてしまいました。特に攻撃の組み立てのところでミスが多く、相手にリズムを渡してしまったのが痛かったと思います。城福監督は後半の早い時間帯から青山やパトリックを投入しましたが、それも勝利のためには当然の采配で、それによって流れを引き寄せることができました。城福監督は「ゲームは延長に入ってはいけなかったゲームだと思います」と語っていますが、確かに試合の流れとしてはその通り。青山、パトリック、稲垣を60分近く使うことになってしまったのは、誤算だったと思います。監督が「若い選手は自分の一つの軽率なプレー、緊張感のないプレーがチームにとって苦しい思いになると、よく学ばないといけないと思います」と語っているように、この勝利からこそ教訓を学んで、次に生かして欲しいと思います。
ところで普段は出場機会が少ない選手が何人か出場したわけですが、この中で最大の「発見」と言えるのはユースの東だったのではないでしょうか。試合後に「緊張していましたけど、最初のワンプレーでパスとかを成功したら自信になるかなと思っていました。意識したら成功して、そこから自信というか楽しくやれました。デビュー戦にしては自分の良さは出せたと思います」と語っていますが、正確なキックとタイミングの良い攻め上がりで持ち味を見せました。延長に入るまでの90分間ピッチにいた、と言うこと自体が、監督からの評価も高かったことを示しているのではないかと思います。一方、怪我でリーグ戦のベンチからも外れていたベリーシャも広島加入以来初の先発フル出場で、勝利に貢献しました。最初は周りとのコンビネーションが合わないシーンが散見されたものの徐々に合うようになってきて、相手を退場に追いやったシーンやパトリックの先制点のシーンなど人を使うプレーで見せ場を作りました。本人としては自分がゴールを決められなかったのが残念だったと思いますが、このようなプレーを続けて行けば必ずチャンスは来るはず。他のFWとは違う個性を持った選手として、今後貴重な戦力になって行くのではないでしょうか。
この結果サンフレッチェは6年連続で天皇杯4回戦(ラウンド16)進出が決まりました。次の相手は、ACLの関係で昨日は試合が無かった鹿島アントラーズ。9/26にカシマスタジアムで戦います。
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