昨日カシマスタジアムで行われた天皇杯準々決勝鹿島戦は、PK失敗などが響いて0-1で敗れて今季の全日程を終了しました。
森崎和とウタカが体調不良などで欠場して、以下の布陣で戦いました。
林
塩谷 野上 水本
青山 丸谷(→佐藤79分)
ミキッチ 柏
(→清水68分)
A・ロペス 柴崎
皆川(→宮吉88分)
SUB:増田、高橋、茶島、森崎浩
対する鹿島は柴崎岳、金崎、西がベンチにも入らず、GK:曽ヶ端、DF:伊東、植田、昌子(→鈴木66分)、山本、MF:永木、小笠原、遠藤(→三竿76分)、中村、FW:土居、赤崎(→ファブリシオ86分)、と言うメンバーでした。試合の序盤は広島が球際を激しく行って主導権を握ろうとします。それに対して鹿島はやや運動量が少ないながら、ここぞと言うところでは連動した攻撃で広島ゴールを脅かします。前半5分にはスルーパスから赤崎がシュートしましたが林の正面。13分には遠藤がシュートしましたが枠外に外れます。広島は18分に塩谷のパスカットから柴崎が抜け出してフリーでシュートしましたが枠を外してしまいます。続いて19分には塩谷がシュートしましたが枠外。26分にはアンデルソン・ロペスが素晴らしい身のこなしで3人をかわして柏に展開し、クロスに合わせようとしましたがわずかにタイミングがずれてしまいます。その後は広島が次々と鹿島ゴールに襲いかかり、水本や皆川がヘディングで狙いますがなかなか良いところにボールが飛びません。前半は全体的に広島が押しながらもシュートの精度が悪く、スコアレスでハーフタイムを迎えました。
後半も立ち上がりは広島がチャンスを作り、7分にはアンデルソン・ロペスがシュートしましたが枠を捉えることができません。そして後半12分、小笠原の浮き球のパスにDFも反応したもののラインを割ると思ったかクリアし切れず、飛び出した赤崎に角度のないところからシュートを決められて先制点を許してしまいました。
追いつきたい広島は前がかりに攻めて行きます。しかし鹿島はカウンターからチャンスを作り、13分には遠藤が決定的なシュートを放ちましたが林が見事なセーブ。15分にも遠藤の決定的なシュートを林がセーブします。そして後半17分、柏がペナルティエリア内で大きな切り返しをすると伊東が思わず引っかけてPKを得ます。自らボールを取りに行ったアンデルソン・ロペスがキックしましたが、しかしコースを読んだ曽ヶ端に止められ同点のチャンスを逃してしまいました。
何とかしたい広島は、清水を投入して左に入れて柏が右に回ります。そして29分には柏のプレスで得たCKから皆川がフリーになりますが、ゴール右上隅を狙ったシュートはサイドネットに行ってしまいます。鹿島も32分に赤崎がペナルティエリア内でフリーになりましたがシュートをふかしてくれて助かります。寿人と宮吉を投入して最後の攻撃に賭ける森保監督。しかし攻撃の連動性が無くなかなかシュートに持ち込むこともできません。そして4分のアディショナルタイムも無為に過ぎて、得点の無いままにサンフレッチェの2016年は終わりを告げました。
試合後に佐藤寿人選手は「浩司は引退、自分は退団と言う形でチームを去る。今はクラブとしての転換期」と語りましたが、まさにその言葉通り。それなりのサッカーは見せるもののここぞと言うところで勝ち切れず、大事な試合を悉く落としてきた2016年を象徴した試合だった、と言えるでしょう。選手たちは勝ちたい気持ちに満ちていたように見えましたし、またプレーも一生懸命さが伝わってくるものだったと思いますが、しかし言って見ればそれだけのもの。頑張れば報われる、とは限らないのがプロの試合と言うもので、特に相手が今季のチャンピオンともなれば勝てなかったもの当然、と言わざるをえません。昨年優勝したメンバーからドウグラスと浅野が抜け、森崎和も千葉もいない、そして今季を引っ張ってきたウタカも不在と言う状況の中で、それに代わるチームが作り切れていなかったと言うことが改めて確認できた試合だった、と言うことだと思います。森保監督は「結果が出なかったことは、私の力のなさです」と語っていますが、やはり一度完成したチームを作り直すことがいかに難しいか、と言うことを痛感した一年だったのではないでしょうか。
そう言う意味で言えばこの日の相手の鹿島も、世代交代に長い時間をかけざるをえなかった、と言うことを見るべきでしょう。3連覇を果たした2007年〜2009年以降ほとんどの主力が入れ替わるとともに、中心選手として期待が大きかった内田や大迫などが欧州に移籍。一時は残留争いにも巻き込まれながら、しかもナビスコ杯や天皇杯では優勝しながらもリーグではなかなか優勝できずに7年がすぎて、ようやく今年チャンピオンに返り咲きました。今季は緩やかに世代交代を行いつつ戦ってきた広島でしたが、しかしそのミッションはそう簡単なものではないと言うことを、改めて教えられた試合だったと言えるかも知れません。
ところでこの日が広島での最後のプレーとなった佐藤寿人選手。わずか10分あまりのプレーで見せ場は作ることができませんでしたが、しかし試合後には多くの横断幕を掲げて「寿人コール」を繰り返す広島サポーターとの別れを惜しむこととなりました。彼が広島に来た2005年から12年のあいだ、サンフレッチェはJ2降格や3度の優勝など様々な歴史を積み重ねてきました。寿人を失うのは痛恨なのですが、しかしチームもサポーターも今こそ新たな道を歩み始めるべきなのでしょう。今季、ゼロックススーパーカップ以外は優勝争いにも絡めなかった悔しさを、来季の新しいメンバーで絶対に晴らして欲しいと思います。
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