AFC U-23選手権決勝・韓国戦
昨日行われたAFC U-23選手権の決勝で、U-23日本代表は逆転で韓国を下してこの年代としては初めてアジアチャンピオンになりました。
この日は準決勝から4人入れ替えて、GK:櫛引、DF:室屋、岩波、植田、山中、MF:矢島(→豊川75分)、大島(→浅野60分)、遠藤、中島、FW:久保、オナイウ(→原川HT)、と言うメンバーでした。一昨年9月のアジア大会で敗れたリベンジに燃える日本でしたが、しかし序盤から韓国のパス回しに翻弄されてなかなかペースをつかめません。そして6分のチン・ソンウのシュートのこぼれをユ・ソンウに叩き込まれたシーンはオフサイドに救われたものの、前半20分、右からのクロスの落としをクォン・チャンフンがフリーでシュート。これが岩波に当たってコースが変わったためGKも反応できず、先制点を奪われてしまいました。
この後もペースは韓国。日本は久保を起点に攻撃の糸口を探すものの、シュートも打てない時間帯が続きます。逆に35分にはチン・ソンウに危ないシュートを打たれたものの上に外れて助かります。結局前半は韓国の1点リードで前半を終えました。
後半に入ると手倉森監督はオナイクに代えて原川を投入しスリーボランチにして中盤を落ち着けようとします。しかし後半2分、右サイドからのイ・チャンミンのクロスを受けたチン・ソンウがゴール前落ち着いて狙ってシュート。これがGKの横を抜けて、点差が2点に広がってしまいました。
その後も韓国の攻撃のペースは落ちず、5分にはシュート性のクロスにクォン・チャンフンが飛び込んだもののわずかに及ばず、13分にはユ・ソンウのシュートが日本ゴールを襲いましたがGK正面。17分にもユ・ソンウのシュートがポストをかすめて枠外に外れ、19分にはシム・サンミンのクロスのこぼれをムン・チャジンに狙われましたが上に外れて助かります。なかなか反撃の糸口が掴めなかった日本でしたが、しかし途中交代で入った浅野が「仕事」をします。後半22分に矢島のスルーパスで抜け出した浅野が右足でダイレクトシュートを放つと、これがGKの脇の下を抜いてゴールネットを揺らして1点差。続いてその1分後には山中の左からのクロスに矢島が頭で合わせて、あっという間に日本が同点に追いつきました。
その後は勝ち越しを狙って激しく攻め合う両チーム。韓国は25分にチン・ソンウが強烈なシュートを放ちましたが櫛引が好反応で弾きます。そして後半36分、中島のワンタッチパスに走り込んだ浅野がDFをかわして前を向くとGKとの1対1を制して左足でゴールを決めて遂に勝ち越し。最後の韓国のパワープレーも跳ね返して、日本が見事な逆転勝利を収めました。
グループリーグから5連勝。しかも失点はセットプレーからのみとここまで順調に勝ち上がってきていたU-23日本代表でしたが、しかし永遠のライバル・韓国はやはり一番手強い相手でした。足下のテクニックやパスの正確性等の個人戦術も連動性などのチーム戦術もこれまでの相手に比べて一枚上手で、途中までは打開策も見つからない、と言う感じでした。しかしそのような流れを変えたのが浅野でした。最初にペナルティエリア内でパスを受けたシーンこそ良いシュートが打てずに止められましたが、その後の矢島のスルーパスで抜け出して速いタイミングで打って決めたゴールは、チームに大きな勇気を与えました。そして後半36分の決勝ゴールのシーン。これは浅野のタイミングに合わせてパスを出した中島も素晴らしかったのですが、受け手の浅野がDFにいったん身体をぶつけてスペースを作り、爆発的なスピードで置き去りにしてGKの動きの逆を突いて決める、と言う浅野らしい見事なゴールでした。この大会、ここまでチャンスは作ってもシュートがポストに弾かれたりして点を取れなかった浅野でしたが、それで溜まっていた鬱憤を一気に晴らすような2ゴールは、まさに日本を優勝に導く働きでした。U-23代表でもサンフレッチェと同様に「スーパーサブ」としての起用が多かった浅野でしたが、最後の最後で期待に応えることができたと言えます。まさに「持っている男」の面目躍如たる働きだったと言えるのでは無いでしょうか。
この結果日本はリオデジャネイロ五輪に「アジアチャンピオン」として臨むことになりますが、ただ五輪本番でメダルを、特に金メダルを取るためにはまだまだレベルアップが必要なのではないか、と思います。そのためには、まずは選手一人ひとりが所属クラブでレギュラーを取ること。あるいは今回は選ばれなかった選手たちが、クラブでレギュラーを取って代表に名乗りを挙げてくることだと思います。そう言う意味では浅野にはもっともっと成長して欲しいところですし、今回は出場できなかった野津田や吉野、宮原らも同じです。このところフル代表も年代別代表もアジアの壁を乗り越えることができませんでしたが、この勝利をきっかけに大きく飛躍して欲しいもの。そしてリオデジャネイロ五輪では、ロンドン五輪の4位を超える結果を出して欲しいと思います。
| 固定リンク