サンフレッチェは昨日国立競技場で富士ゼロックススーパーカップを戦い、野津田と浅野のゴールで横浜FMを下して2年連続優勝を果たしました。
足首を痛めている森崎和はベンチにも入らず、また高萩も温存して柴崎、野津田が先発して、次の布陣で戦いました。
林
塩谷 千葉 水本
青山 柴崎
ミキッチ 清水(→山岸29分)
(→ファン65分)
石原 野津田
佐藤(→浅野59分)
SUB:増田、茶島、パク、高萩
対する横浜FMは、GK:榎本、DF:小林、栗原、中澤、ドゥトラ(→下平60分)、MF:中町(→兵藤69分)、富澤、藤本、中村、齋藤、FW:端戸(→矢島60分)、と言うメンバーでした。広島は立ち上がりから猛ラッシュをかけて、キックオフから10秒で野津田が裏を取ってクロスに石原がフリーで合わせましたが枠外。1分にはミキッチのクロスに寿人が合わせ、その直後のCKから石原が流し込もうとしましたがぎりぎりでクリアされます。更に2分にはロングパスに反応した寿人が左足でシュートしましたがGKの好セーブに防がれます。そして6分、塩谷の縦パスを受けた石原が右サイドを突破して低いクロス。中央の寿人が潰れると詰めていた野津田が押し込んで、見事な形で先制点を奪いました。
その後もペースは広島。9分には青山のFKから石原がシュートし、その後も青山が、野津田がミドルで狙います。19分には齋藤に右サイドを破られクロスに藤本がフリーで合わせましたが、シュートをふかしてくれて助かります。26分にはゴール前の競り合いで脇腹を痛めた清水が担架で運ばれますが、代わりに出場した山岸が穴を埋めます。前半の後半になるとさすがにプレスのパワーが落ちた広島でしたが、そこはそこはいつものようにしっかりとゴール前にブロックを作って横浜に決定的なシーンを作らせません。何度もあった横浜のセットプレーもしっかりとはね返して、1点のリードを保ったまま前半を折り返しました。
後半も立ち上がりは広島ペースで、2分には山岸がドリブル突破して決定機を作り、5分には石原がペナルティエリアの右からクロスを入れ、これに寿人が反応しましたがGKのビッグセーブに防がれます。また7分にはミキッチのマイナスのパスを青山が受けて、ペナルティエリア中央から放ったシュートがGKの手を弾いてゴールネットに突き刺さりましたが、GK前にいた寿人がオフサイドを取られてゴールを取り消されます。後半14分には寿人をベンチに下げて浅野を投入する森保監督。横浜もコンディションの悪いドゥトラを諦め、下平を投入します。そして後半21分、DFの間でボールを受けた野津田が前を向いてドリブルからスルーパス。ここに中澤の視野の外から飛び込んできた浅野がワンタッチでシュートを決めて、ゆりかごパフォーマンスで祝いました。
これで完全にノリノリになった広島は、速攻から何度もチャンスを作ります。25分には石原のシュートのこぼれを野津田が打ちましたが枠を捉えることができず、27分にはファンのクロスに浅野が頭で合わせましたが枠外。30分には野津田の強烈なミドルがポストに弾かれ、こぼれを石原が決めたもののオフサイドを取られます。横浜も何度かサイドから攻め込んできましたがDFが身体を張って横浜の得点を許さず、そのまま2-0で終了のホイッスルとなりました。
試合後に横浜FMの選手たちは「広島とはコンディションの違いがすごく出てしまった」(藤本)「全体的なコンディションで向こうのほうが動きのキレがよかった」(兵藤)「相手のほうが仕上がっていたし、コンディションにも差がありました」(栗原)とコンディションの差を完敗の理由に挙げています。横浜は雪の影響で栃木との練習試合が中止になり、また練習場も芝の状態が悪いなど思うような調整ができていなかったとのこと。新戦力がフィットしていなかったことも含めて、言い訳のネタはあったのだと思います。ただ、開幕時に100%の状態に仕上がっているわけではない、と言うことも含めて条件はどのチームも同じ。少なくとも広島も横浜も昨シーズン最後の試合から昨日までの間隔は全く同じだったわけですから、コンディションが悪かったのだとすればそれはチームマネージメントが悪かった、と言うことになるでしょう。むしろ天皇杯での広島は直前に2試合連続PK戦を戦っており、しかもアウェイの連戦で自宅に帰れない状況だったわけですから、この日のサンフがその時よりも状態が良かったのは当然だと言えます。この日のサンフはしっかりとコンディションを調整していつも通りのサッカーをした。その結果これまでなかなか勝てなかった相手を上回って勝つことができたわけで、まさに「チャンピオン」の称号に相応しい戦いだったと言えるでしょう。
この試合の中でも特に大きな収穫は、若手と新戦力が輝きを見せたことだと言えます。プロとしては初めて先発から公式戦のピッチに立った野津田は、全く臆することなく最初から飛ばして次々とビッグチャンスに絡みました。そしてその勢いは体力的に厳しくなる終盤になっても落ちることなく、90分間機能し続けました。また浅野も同級生の活躍に刺激を受けたか素晴らしいパフォーマンスを見せました。特に得点シーンは素晴らしいスピードでパスコースに入り込んで、中澤の裏をかいてゴールを決めて見せました。もともと能力の高い2人ではありましたが、ほとんど何もできなかった天皇杯決勝から2ヶ月弱でこれほど成長したと言うのは大きな驚き。これによって、チームは明らかにレベルアップしたと言えます。また移籍組の林と柴崎も、広島に来たばかりとは思えないようなプレーで勝利に貢献しました。昨年までは多少コンディションに問題があってもレギュラー選手を使い続けなければならなかったサンフレッチェでしたが、この日は森崎和、高萩と言う「大駒」2枚を温存しながら素晴らしい内容で勝利したと言うことは、これから始まる過密日程に向けて大きな収穫だった、と言えるでしょう。ラインを高くして前からのプレスをかける、と言う戦い方が嵌まったこと(横浜FMの小林が「広島はウチに対して、2年以上勝っていないので、さすがにやり方をウチ仕様にしてきました」と言うほど戦術を変えたとは思わないのですが、そう思わせるだけの勢いはあったと言うことでしょう)も含めて、J1リーグ3連覇とACL制覇に向けて幸先良いスタートが切れた、と言えるでしょう。
ところでこの日のサンフレッチェは喪章着用で試合に臨み、1点目を取った時には選手全員で喪章を天に掲げるパフォーマンスをしました。2/10に急逝されたチームスタッフの澤山文枝さんを悼んでのことだったのですが、実は私も澤山さんとは面識がありました。何年か前にホームゲームのラウンジで受付をされている時に話をして、それ以来時々連絡を取り合っていたのですが、突然のご病気で亡くなられたと聞いて本当に驚きました。お会いした時に聞いたところによると、澤山さんは選手たちやその家族のお世話をしたり、彼らの悩みの相談に乗ったりして「サンフレッチェの母」とも言える存在だったそうです。宮崎キャンプ中に突然亡くなったと言うことで選手たちは告別式に出ることができなかったのですが、佐藤寿人選手は「本当は宮崎から帰りたかったくらい」と語るほど。
Jリーグサッカーキングの記事によると試合終了後のフォトセッションでは、澤山さんの遺影が家族とともに収まっていたとのこと。サンフレッチェの今回の快勝を一番喜んでいるのは、天の上から見守っている澤山さんだったに違いありません。
日刊スポーツ
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