昨日広島ビッグアーチに13,204人を集めて行われたJ1リーグ第31節は、札幌を3-0で下して2位仙台との勝ち点差を2に広げました。
先発は前節と同じ。また第21節以来3ヶ月ぶりに中島がベンチに入って、以下の布陣で戦いました。
西川
森脇 千葉 水本
青山 森崎和
(→石原68分)
ミキッチ 清水(→山岸88分)
(→石川83分)
森崎浩 高萩
佐藤
SUB:増田、塩谷、中島、大崎
対する札幌は、GK:高原、DF:櫛引、河合、宮沢、MF:古田、山本、ハが、岩沼、荒野(→前田58分)、岡本(→大島78分)、FW:内村(→近藤69分)、と言うメンバーでした。FWが高い位置からプレスをかけてきた札幌に対して、広島はDFラインでの落ち着いたパス回しで攻撃を構築します。札幌は6分に芳賀が右サイドからクロスを入れて内村がわずかに合わない、と言うシーンを作りましたが、しかしその他の時間帯はほぼ広島ペース。7分には森脇がミドルシュートを狙うと10分にはCKから水本がヘッド。13分には高萩がミドルを放ち、13分には森崎浩が右足で狙います。そして15分、森崎和からのパスを受けた森崎浩がスルーパスを送ると寿人が素晴らしいターン。櫛引が思わず押し倒したことにより、PKが与えられます。そこで足を痛めてしばらく立てなかった寿人に代わってボールをセットしたのは森崎浩。コースは読まれたものの強烈なキックはGKの手を弾いてネットに突き刺さり、広島が先制点を奪いました。
これで勢いがついた広島は、その後も攻撃の手をゆるめず高萩が、ミキッチが、青山がシュートを狙います。そして30分、青山の足の長いスルーパスがペナルティエリア内に通ると寿人が河合をブロックしながらダイレクトでシュート。これが見事に決まってリードを2点に広げました。
この後もサンフがボールを支配してサイドから、あるいは中央突破から攻撃を仕掛けます。札幌はボールを持っても崩すことができず、チャンスらしいチャンスは44分に岡本がミドルシュートしたぐらい。この流れは後半も同様で、3分のミキッチが抜け出してフリーでシュートしたシーン、4分の高萩のFKに合わせた寿人のシュートがバーを叩いたシーン、そして8分の森脇の突破からのシュートなど決定機を何度も作ります。札幌の石崎監督はたまらず前田を投入してワントップに据えますが焼け石に水。14分には清水、18分には森崎浩が惜しいシュートを放ちます。なかなか追加点が奪えない広島は石原の投入によってより攻撃的な姿勢を強め、26分には千葉がミドルを打ったものの枠外。29分には森脇が決定的なヘディングシュートを外し、32分にも石原がDFに身体を寄せられながらも突破してビッグチャンスを演出します。そして後半40分、森脇のミドルシュートをクリアされて得たCKで、森崎浩のボールを水本がニアで合わせて待望の追加点を奪います。札幌も何とか反撃しようと試みたものの43分の大島のシュートは西川がキャッチし、そのまま広島が勝利の凱歌をあげました。
3試合連続勝利が無く、2位と同勝ち点で最下位・札幌をホームに迎えたこの試合。サンフレッチェにとって必要なことは、勝ち点3を取ることだけでした。それに対して札幌はJ2降格が決まっているとは言え、仙台、名古屋、浦和など上位チームを次々と破ってきています。ノープレッシャーで伸び伸びと戦いを挑んでくれば、厳しい戦いとなる可能性は高かったと思います。ところが結果はシュート数19対4で得点は3-0と広島の圧勝。内容的にも圧倒した4試合ぶりの勝利で、優勝に向けての再加速、と言うことになりました。
この勝利の要因としては、やはり立ち上がりから積極的に戦ったのが大きかったと思います。ここ数試合のサンフレッチェは優勝争いのプレッシャーからか前半は慎重に戦うことが多く、得点を奪いに行くと言うよりもむしろ先に失点をするのを避ける、と言う感じでした。また相手がキープレーヤーにマンマークを付けるなど「広島対策」を立ててきたこともあって、なかなか点が取れずに3試合で2得点。シーズン途中まで見られた攻撃的なダイナミズムは、影を潜めていました。しかしこの日のサンフレッチェは違いました。札幌が前線からかけてきた圧力を巧みなパスワークでかわすと、サイドから、あるいは中央の突破からチャンスを作り相手を押し込みました。札幌としては決して引いて守るつもりではなかったと思うのですが、やむなくゴール前に固まって守らざるをえない、と言う感じでした。
そしてその札幌の守りを崩したのは森崎浩、青山からの鋭いスルーパスと、これを呼び込み、また危険なエリアで前を向いてボールを受けた寿人の切れ味鋭い動きでした。コンビネーションに問題を抱えている、と言うのがこれまでの札幌守備陣の評価だったそうですが、それでも人数をかけて守ってこられると打ち破るのは難しいもの。そこをエースの活躍で早い時間帯に2点のリードを得ることができたことが、広島らしいサッカーを展開できた理由だったのだと思います。
一方守備ではDFラインの集中が高かったのはもちろんですが、それ以上に光っていたのは中盤の球際での強さでした。相手がパスワークで、あるいはドリブルで侵入しようとしてもボールホルダーを2人、3人で取り囲んでバイタルエリアに入られる前に奪い取り、その上後ろからのロングボールもほとんど中盤ではね返していました。この結果、札幌のシュートは4本だけで決定機はほぼゼロ。スコア以上の、そして順位どおりの内容差だったと言えるのでは無いでしょうか。
この第31節の結果サンフレッチェの勝ち点は58となり、2位仙台との差は2、3位浦和との差は9となりました。4位名古屋も浦和と同勝ち点まで上がってきたのでACL出場権獲得は決まらなかったものの、残り試合と得失点差を考えればほぼ確定。また優勝争いも仙台とのマッチレースとなりました。ただ、いつも監督も選手も言っているようにこれで何かを得たわけではなく、待っていれば優勝できるわけでもないわけです。次の浦和戦もその後のC大阪戦も神戸戦も集中して戦うこと。そしてこの試合で見せたようなサンフレッチェらしい積極性を失わないこと。それが、トップでゴールテープを切るための最も重要な条件なのではないでしょうか。
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