第27節鳥栖戦
先発は前節と同じでしたが、控えには塩谷の代わりにファンが入って以下のメンバーで戦いました。
西川 森脇 千葉 水本 青山 森崎和 石川 清水(→ファン79分) (→ミキッチ67分) 森崎浩 高萩 (→石原85分) 佐藤 SUB:増田、横竹、辻尾、大崎対する鳥栖は大学生の岸田を初めて起用して、GK:赤星、DF:岸田、キム、呂、磯崎、MF:水沼、岡本(→高橋79分)、藤田、金(→岡田70分)、FW:池田(→トジン70分)、豊田、と言うメンバーでした。立ち上がりは前からプレスをかけてきた鳥栖でしたが、ロングパスを織り交ぜながら押し返すと試合は落ち着きます。そしてしばらく膠着状態が続きましたが、17分には青山のロングパスを受けた寿人が難しい体勢からファーストシュート。19分には石川のクロスを高萩がダイレクトで打ったものの赤星のスーパーセーブに防がれます。そして29分、森崎浩の左へのパスでフリーになった清水がペナルティエリア内で仕掛けるとDFをかわしてシュート。これが相手に当たってゴールに飛び込み、広島が先制点を奪いました。更にその2分後には清水の逆サイドへのパスを磯崎がトラップミス。飛び込んだ石川と絡んで倒れるとこれがPKのジャッジを呼び込み、寿人がしっかりと蹴り込んで点差を2点に広げます。その後鳥栖も何度か攻め込んできましたがDFが高い集中力でしっかりと対応して、2点リードで前半を折り返しました。
後半は鳥栖も攻めの圧力を強めて、ロングボールやクロスから何度も広島ゴール前に攻め込みます。後半6分にはFKのこぼれを至近距離から打たれたもののDFがブロックし、7分には岸田のクロスを豊田に狙われます。逆に後半12分、森崎浩のロビングのパスを呂がクリアミス。これを拾った寿人がGKを引きつけるとマイナスのパスを送ると走り込んできた森崎浩が右足でゴールに突き刺して、リードを3点に広げました。
この後、次々と選手を入れ替えつつ愚直なロングボール攻撃を続ける鳥栖。広島もミキッチを投入して攻めの姿勢を維持しつつ、粘り強い守備ではね返し続けます。32分にはカウンターから豊田が打ってきましたが西川が横っ飛びでキャッチ。その後もハイボールにDFが身体を寄せ、また西川が素早い飛び出しでキャッチします。しかしロスタイムに右からの水沼のクロスを豊田に決められ、リードは2点に縮まりました。
これで勢いが出た鳥栖は、その後もひたすら放り込んできます。しかし49分、DFラインからミキッチがロングフィードすると抜け出した寿人がGKを良く見てループシュートを沈め、ダメ押しとなる今シーズン20得点目で試合を締めました。
3試合連続での「上位対決」となった広島でしたが、鳥栖はその中でも特に難しい相手だったと思います。試合全体を通して激しく戦ってくる、と言うのは予想の通りだったのですが、それでも鳥栖の選手が試合後に「もう少し、強く身体をぶつけていかないと」(金民友選手)と語るほど。そして豊田を目がけてロングボールを入れてくると言う攻撃を、ひたすら続けてくる粘り強さがありました。これに対して広島も、一歩も引かずに肉弾戦を戦っていたと思います。この結果いつもは警告が少ない広島なのに、清水、森崎和、森脇と3枚もイエローをもらうほど。(因みに今年3枚以上のカードが出たのは前回の鳥栖戦と新潟戦のみ。)それだけ強い気持ちで戦ったからこそ、主導権を渡さず戦えたのだと思います。
そしてそのように戦う中でも「広島らしさ」は随所に見せていました。先制点はフリーの選手を見つける森崎浩の戦術眼と、好調・清水のチャレンジ精神の賜物。2点目のPKもジャッジに恵まれたと言う面はありますが、しかし左WBの清水が右WBの石川を使うパスを出したと言うところは、広島らしい攻撃だったと思います。更に前掛かりになった相手の裏を突いて取った3点目と4点目も、サンフレッチェらしい得点でした。この鳥栖戦は、まさに首位を走るチームにふさわしい「横綱相撲」で勝利したと言えるでしょう。
今節はサンフレッチェが勝ち点3を積み重ねたのに対して、2位仙台は逆転負けで勝ち点48にとどまりました。また3位浦和は終了間際のラッキーゴールで勝利したものの、4位以下のチームは足踏み状態となっています。優勝ラインがどこまで上がるか(下がるか)は分からないものの、目安を試合数の2倍と考えれば68。サンフレッチェは残り7試合を5勝2敗で乗り切ればこの勝ち点に到達するのに対して、仙台と浦和は全勝するしかありません。現実には平均勝ち点2以上のペースで勝ち続けるのはそう簡単なことではないので、仙台か浦和が今後好調を持続したとしても63〜64ぐらいが現実的なラインでしょう。従ってサンフレッチェとしては残り7試合で4勝すれば、逃げ切る可能性は高いのではないでしょうか。
ところでこの鳥栖戦には話題が2つありました。1つはハシェックの「シーズン19ゴール」のクラブ記録を破った佐藤寿人選手なのですが、もう1つはJ1残留が確定したことです。現在16位のG大阪の勝ち点は29なので、残り7試合に全勝したとしても勝ち点50。現時点でこの勝ち点を上回っているのは広島だけなので、ようやくここでJ1残留が確定したことになります。他のクラブのサポーターからは「首位のチームが何を言っているんだ」と言われるかも知れませんが、今季開始時点で一番不安だったのはJ2降格もあるのではないか、ということ。実際、新人監督が指揮を執ると言うことと、得点源だった李とムジリがいなくなったことから、一部の評論家からは降格候補に挙げられていました。昨年、J2から昇格したばかりの柏が優勝したように、何があっても不思議ではないのがJリーグなのですが、まさか優勝争いをするとは思っていなかったし、ましてやこの時点で首位に立っているとは想像すらしていませんでした。とは言え、このようなチャンスはめったに来ないであろうことは確かですし、一度チャンスを逃せば次はなかなか来ない、と言うのもこれまで散々経験してきていることです。今後「優勝争いのプレッシャー」はあると思いますが、しかしそれはどのチームだって同じです。追われる立場の苦しさよりも、追う苦しさの方がもっと辛いはずです。サンフレッチェとしてスタートしてから20年。94年のチャンピオンシップ、95, 96, 99, 2007年の天皇杯、そして2010年のナビスコ杯といつも目の前で優勝を逃してきた悔しさを、ぜひともここで晴らしたいもの。このようなチャンスは二度と来ないと言うつもりで、栄冠を勝ち取るまで突っ走って欲しいと思います。
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