昨日長居スタジアムで行われた第25節C大阪戦は前半3点リードしたものの後半に5点取られて、信じられないような大逆転負けを喫してしまいました。
累積警告で森崎浩を欠いていたものの、代表組の西川、李は元気に先発して、以下の布陣で戦いに臨みました。
西川
森脇 森崎和 水本
(→横竹69分)
青山 中島
(→丸谷78分)
ミキッチ 山岸
李 高萩
(→ムジリ62分)
佐藤
SUB:中林、盛田、服部、石川
対するC大阪は、GK:キム・ジンヒョン、DF:酒本、茂庭(→藤本8分)、上本、丸橋、MF:扇原、山口(→キム・ボギョンHT)、ファビオ・ロペス、清武、倉田、FW:杉本(→播戸HT)、と言うメンバーでした。序盤はC大阪が若さを前面に出して前から来ていて、0分には清武、2分には酒本がシュート。その直後のCKからは杉本が頭で狙うなどどんどんシュートを狙ってきます。しかし5分に茂庭が倒れて立ち上がれなくなり、治療したものの断念して藤本に交代すると流れが一変し広島がペースをつかみます。18分には李が突破を狙って倒され、ゲットしたFKを自ら蹴ったものの壁の中にいた味方に当たって枠外。19分には高萩が反転してシュートします。そして20分、中島の展開のパスを受けたミキッチが思い切って中へ。これが飛び出そうとしたGKの逆を突いてゴールネットに飛び込み、広島が先制点を奪いました。
これで勢いがついた広島は、いつものサッカーで何度も相手陣内に攻め込みます。逆にセレッソは若さが出たか、攻撃に出るものの単発的で脅威にはなりません。そして32分、ミキッチがペナルティエリア内で相手をかわして入れた低いマイナスのクロスを高萩が押し込んで、広島が追加点をゲットしました。更にその後も広島が攻め続け、43分には青山のパスを受けた寿人が見事なステップで前を向くと右足でシュートを打つと、これが見事にゴールネットに収まります。その後もミキッチのシュートなど広島が攻撃の姿勢を緩めず、3点リードで前半を折り返しました。
後半に入るとC大阪のクルピ監督は、交代カード2枚を切って背水の陣を取ってきます。そしてそれが実ったのが開始からわずか1分。清武が右から切れ込んで左足で打ったシュートがDFに当たって方向が変わってゴール。ハーフタイムには盛大なブーイングを受けていたC大阪は、このゴールですっかり蘇ってしまいました。
この後広島も追加点を奪うべく攻めに出て、3分には寿人が、8分には山岸がそれぞれ良い形でシュートに持ち込みましたが枠を外してしまいます。逆に9分には丸橋の左からのクロスを播戸に押し込まれて1点差。更にその2分後にはファビオ・ロペスのクロスをまたもや播戸に決められて同点に追いつかれてしまいました。
これで落ち着いたC大阪は、低い位置にブロックを作って広島を誘い込み、カウンターを仕掛けると言う戦いにシフトします。広島はムジリを投入し、前線のキープとスルーパスからチャンスに繋げようとします。しかしなかなかチャンスを作れないうちに後半26分、CKのこぼれを拾えず、繋がれてキム・ボギョンがシュートするとこれがまたもやDFに当たってゴール。広島はついに逆転を許します。更に後半32分には、清武の右への展開を酒本が低いクロス。ニアに飛び込んだ播戸がDFより一瞬早く触って流し込んで、リードは2点に広がりました。
焦る広島は、その後も何とか守備をこじ開けようと攻撃を続けます。37分にはミキッチが切れ込んでシュートしたもののGKが弾き、40分には抜け出そうとした寿人が後ろから倒されます。また43分にはムジリのクロスに水本が飛び込みましたがわずかに合いません。45分にはミキッチのクロスに寿人が飛び込み、芸術的なシュートを決めて1点差に迫ったものの、ロスタイムの中島のシュートはGKに止められ、直後の丸谷の突破もシュートを打てず。結局1点差を詰めることができずに勝点1も取れずに終わりました。
試合後にペトロヴィッチ監督は「今、私はショックな状態である。こういったゲームを落とすことは、あり得ないというしか表現できない。あり得ないことが、現実的に我々に起こってしまった」と語っていますが、携帯サイトの選手のインタビューを見るとほぼ同じようなコメントをしています。「パーフェクトなゲーム」(ペトロヴィッチ監督)だった前半を終え、気を引き締めて臨んだはずの後半がこんな事になってしまうとは、誰が想像したでしょう?まさにサッカーの怖さを思い知らされた試合だった、と言えます。もちろん、一つ一つのプレーを見れば、失点に至った原因はあるでしょう。例えば清武の1点目は、シュートに来るところへの詰めが甘くてフリーで打たれたところに原因があったわけですし、播戸の3点はいずれもフリーでクロスを上げられ、播戸へのプレッシャーも甘い中でやられています。3点もリードしていたのに1点取られただけで慌ててしまい、あっという間にリードを吐き出しただけでなく逆転まで許してしまう。プロとしてはあるまじき失態で、これは間違いなく自分たちの責任です。特にまだリードしていたにも関わらず攻めるか守るかはっきりしなくなり、チーム全体の意思がバラバラになってしまったのは大きな問題だ、と言えます。ただ、どんな試合でもそう言う場面はあるわけだし、そういつもいつも相手のゴールが決まるわけでは無いとも思います。従ってこんな事になったのは相当運が悪かった、とも思います。まさに、サッカーの厳しさを思い知らされた試合だった、と言えるように思います。
このような敗戦は、選手にとってもサポーターにとってもダメージが大きいものです。ただ、だからと言ってネガティブになる必要も無いと思います。ペトロヴィッチ監督は「このようなゲームができるというのも、サッカーの醍醐味の1つ。見ている方にも、広島のようなサッカーを、素晴らしいゲームを見せられたのは、負けはしたものの、ポジティブに捉えたい」と語っていますが、それは決して負け惜しみではないことは敵将の「Jリーグ全体を通しても、今季一番見応えのある試合になった」と言う言葉からも分かると思います。この試合の広島は「盛り上げ役」になってしまいましたが、しかし前半に3点取ったこと、そして逆転されてからも点を取って追いすがった事は確かです。日本で一番面白い試合をしたこと、それができるクォリティのあるチームであるのは間違いありません。残念ながら上位はますます離れてしまいましたが、しかし優勝が遠ざかったからと言って諦めるのは許されない、と思います。この屈辱は、決して忘れてはいけないし、また教訓にしなければならない。セレッソにできたことが、広島にできないはずは無いわけで、どんなに苦しい状況になっても逆転を信じて戦うのがプロ、と言うものでしょう。選手も監督もあまりの結果にぼう然、と言う感じかも知れませんが、この悔しさは何度も何度も噛みしめなければならない。我々サポーターも含めて、この屈辱は必ず晴らさなければならない、と思います。
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