昨日アウェイで行われた第22節鹿島戦は健闘むなしく0-2で敗れて6位に落ちました。
水本が5/7以来3ヶ月ぶりに先発に復帰しましたが、李が風邪のためベンチにも入らず次のメンバーで戦いました。
西川
森脇 森崎和 水本
(→盛田HT)
青山 中島
ミキッチ 山岸(→ムジリ71分)
森崎浩 高萩
佐藤
SUB:中林、横竹、服部、石川、大崎
対する鹿島のメンバーは、GK:曽ヶ端、DF:西、岩政、中田、新井場(→アレックス81分)、MF:増田、小笠原、野沢、フェリペ・ガブリエル(→興梠30分)、遠藤(→青木72分)、FW:大迫、でした。開始早々にチャンスを作ったのは広島で、2分には高萩がファーストシュート。4分にはミキッチが単独でドリブル突破してそのまま放ったシュートは曽ヶ端の足元を抜きましたが、残念ながらポストに弾かれます。逆に鹿島も最初は前からプレスをかけてきて、9分には左からのクロスを逆サイドで遠藤が頭で合わせましたが、西川が素晴らしい反応で弾きます。13分には森崎和が相手ボールをカットして寿人の足元にクサビのパス。これを高萩が前に持ち出してスルーパスを送ると飛び出した森崎浩にぴたりと合いましたが、右足で狙ったシュートは曽ヶ端の足に引っかかります。その後は連戦で運動量が落ちた鹿島相手に広島がボールを支配したものの、引いて守る鹿島の守備を崩すことができません。42分には青山のロングパスで飛び出した寿人が振り向きざまにシュートしたものの、ジャストミートできずに曽ヶ端の胸へ。前半は広島が何度もチャンスを作ったものの決めきれず、スコアレスでハーフタイムを迎えました。
後半に入ると、なぜか森崎和に代わって盛田が入り(ペトロヴィッチ監督のインタビューによると腰痛が酷かったらしい)、森脇をセンターに右に水本、左に盛田と言う練習でも試したことのない(携帯サイトによる)布陣にします。そして開始早々に右からのクロスに大迫が頭で合わましたが枠外。逆に2分には盛田のアーリークロスに寿人が頭で合わせましたがGKの正面に飛びます。9分には左右に振られて中央から大迫がミドルを打ったものの枠外。10分にはセットプレーからの流れで盛田がループ気味に打ったものの枠を捉えることができず、12分にはFKのボールを盛田がバックヘッドで狙いましたが枠を外れます。そして16分には高萩のスルーパスで抜け出した森崎浩がGKの目の前でマイナスのパス。これが山岸に合わずカウンターを食らうと、抜け出した興梠を西川が倒します。そしてそのセットプレーから岩政に決められ、痛恨の失点をしてしまいました。
この後も広島は、後半24分の青山のミドル等で攻め立てます。その後ムジリを投入して森崎浩をボランチに、中島をリベロに下げ、森脇を左サイドに出して攻めの圧力を高めようとします。そして33分には高萩のワンタッチパスから寿人が抜け出しましたが、ぎりぎりで中田がクリア。その後も何度か攻め込みましたが、シュートまで行くことができません。逆に後半41分、左からの興梠のクロスを大迫が後ろに戻すと、走り込んだ野沢が蹴り込み決定的な2点目を奪われます。広島はそれでも何とか点を取ろうと前に出ましたが、決定的なシーンはロスタイムの森脇のミドルシュートぐらい。5分あったロスタイムも有効に使うことはできず、そのまま悔しいホイッスルを聞くことになりました。
試合後にペトロヴィッチ監督は憔悴した表情だったそうで、「私自身、選手にどうやったらゴールが出来るかということを教える能力がないのかもしれません。たくさんの決定的なチャンスがあり、それが入らなかったのはもちろん運もあったと思いますけど、監督としてそういったチャンスを決めきれないということに関して、しっかりと責任を持ちたいと思います」と語っていたそうです。またオリヴェイラ監督も「サンフレッチェが勝ってもおかしくない内容にあったとは言えると思います」と語っていたとのこと。実際、広島は試合を通じて主体的にゲームを運び、素晴らしいパス交換から何度も良い形を作っていましたし、厳しいプレスから相手のミスを誘っていました。対する鹿島は中2日での試合だったと言うこともあって、運動量があったのは最初だけ。徐々に後ろに構えることが多くなり、カウンターとセットプレー以外からはあまり形を作れませんでした。広島は多くの選手が流動的に動いて何度も相手陣内に侵入していたのですが、ただ鹿島が得点を許さなかったのは守備の集中の高さのゆえ、でしょうか。曽ヶ端の決定機阻止も凄かったのですが、それ以上に厳しかったのは中田の守備でした。頭から出血するほど身体を張り、寿人にボールが渡る瞬間、あるいはトラップしてボールを持ち出す瞬間を見計らってタックルをしかけ、決定的場面になる一歩手前で阻止していました。中盤の底で攻守のタクトを振るっていた小笠原、ミキッチに何度も突破を許しながらも諦めずに食らいついた新井場、そして先制ゴールを決めた岩政など、鹿島のベテランが要所を締めたことが鹿島の勝因だった、と言えるように思います。
そしてそれに対して広島は、やはり李の欠場と森崎和の途中退場が響いたと言わざるを得ません。もちろん、前半は攻撃で、後半は守備も含めて獅子奮迅の働きをした森崎浩の働きは称賛すべきだと思いますし、急きょリベロに入って必死で戦った森脇のプレーも素晴らしかったとは思います。更に大けがを乗り越えて出場した水本も良く頑張っていたと思うのですが、しかし「いつものサンフレッチェ」との微妙な違いが、このような競った試合では効いて来たのではないか。前節の名古屋戦と同様に「ディテールの差」が、この試合の結果となったと言うしか無いのではないか、と思うのです。この試練を乗り越えるには何が必要か、と言えば、いろいろな部分でのレベルアップしか無いかも知れない。例えば一人ひとりの個人戦術を上げることであり、チームとしての連係を上げることかも知れない。要するにチーム全体としてのレベルアップが必要だと言うことで、ある意味気が遠くなるような話なのですが、しかしそれはこれまで営々と積み上げてきた「サンフレッチェのサッカー」を考えれば、ほんのちょっとの上積みなのではないか、とも思います。序盤で苦労した鹿島は「奇跡」を信じて上がってきてついに5位に到達しましたが、しかし我々にはむしろ序盤の貯金がある。鹿島が諦めていないのだとすれば、こちらも諦めてはならない、と思います。個人として、そしてチームとしてディテールの質を上げて行けば、きっとこの壁を乗り越えることができるはず。次の浦和戦では、ぜひとも今後に向けての可能性を見せて欲しい、と思います。
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