昨日豊田スタジアムで行われたJリーグ第34節は、名古屋相手に終始ボールを支配したものの1点及ばず、黒星で今季最終戦を終わりました。
ペトロヴィッチ監督が帰国したため横内コーチが監督代行を務めて、次のメンバーで戦いました。
西川
森脇 中島 槙野
青山 森崎和
(→丸谷71分)
ミキッチ 山岸
高萩 李
(→大崎87分)
佐藤寿
SUB:中林、横竹、岡本、清水、山崎
対する名古屋は、GK:楢崎、DF:田中隼、闘莉王、増川、三都主(→阿部73分)、MF:中村、ダニルソン、マギヌン(→金崎74分)、FW:小川、ケネディ、玉田(→杉本65分)、と言うメンバーでした。試合は立ち上がりから広島が積極的に前に出て、パスを繋いで相手陣内に攻め込みます。5分には青山がミドルを狙い、8分には李がループを狙ったものの枠外。11分にはミキッチのクロスを佐藤寿がファーで受けたもののトラップが乱れて打てず。16分には佐藤寿、続いて森脇がシュートし、17分にも佐藤寿がボレーで狙いますが枠を捉えることができません。名古屋は時折個人技からチャンスを作り、12分のマギヌンのカウンターからのシュートはバーが弾きます。そして22分、右サイドに流れた小川が左足でクロス。これがケネディの頭にぴたりと合って、先制点を許してしまいます。更に32分、中島がボールを奪われショートカウンターを食らい、抜け出したマギヌンが強烈なシュートを決めて点差は2点に広がりました。
これで落ち着いた名古屋は、ケネディを残して引いてブロックを作って広島の攻撃を待ちかまえます。サンフは左右から何度も崩してペナルティエリアまで持ち込むものの、名古屋の堅い壁はなかなか崩れません。しかし前半ロスタイムに李がドリブルで闘莉王を抜いてシュート。これが見事にネットに収まって、点差を1点に詰めてハーフタイムを迎えました。
後半に入ると、広島は一段と攻勢を強めます。キックオフでボールを保持していた名古屋に高い位置からプレスをかけて奪うと、山岸のクロスを李が胸で落としてミキッチが決定的なシュートを放ったもののDFがブロック。4分には前線で軽快にパスを繋いで最後は槙野がフリーになりましたがシュートをふかしてしまいます。逆に18分にはカウンターから玉田がフリーになりましたが西川がスーパーセーブ。26分には佐藤寿が決定機を作りましたが楢崎に防がれます。その後も28分に増川、30分に佐藤寿が決定的な場面を作りますが、両チームのGKがスーパーセーブ連発で得点を許しません。34分には小川のシュートを西川がストップし、37分には闘莉王のシュートがバーを直撃。38分にも杉本のクロスでケネディがフリーになりましたが、シュートは大きく上に外れます。逆に45分にはミキッチが突破して決定的なシュート。後半ロスタイムにも山岸のクロスに李が飛び込みましたがわずかに合わず、直後の森脇のクロスも流れてそのまま終了のホイッスルが鳴り響きました。
どちらも勝利は欲しいものの、勝点に対するプレッシャーは無い状態。3万人の名古屋サポーターだけでなく千人以上の広島サポーターの目の前で、お互いの持ち味を発揮した好ゲームが展開されました。特に広島は序盤から難しいパスを次々と繋いで、持ち前の「人もボールも動く」サッカーを展開しました。そして特に後半は名古屋を自陣に押し込んで、何度もビッグチャンスを作りました。試合後に高萩選手が「今年一番の試合したかなと思ってます」と語っているように、リーグチャンピオンを相手に質の高いサッカーを展開できたと言うことは、この苦しい1年で選手とチームが成長したと言う証でしょう。
ただその一方で、相変わらず「安い失点」で敗戦したと言うのも今年の広島を象徴した結果だった、と言えます。佐藤寿人選手が表現するように、名古屋には「何でもないところでも点が取れる力強さ」がありました。試合の流れを読んで我慢すべきところは我慢し、行くべきところは行く。そのバランスがうまく行っていたからこそ、勝点を72も取ることができたのだと思います。逆に今年の広島は良く頑張ったのは確かですが、しかしここぞと言うところで勝ちきれず、タイトルもACL出場権も取れなかった。それは今のサンフレッチェにとって最も大きな課題であり、そして乗り越えなければならない壁なのではないか、と思います。
サンフレッチェはこの結果勝点が51にとどまったものの、すぐ下の順位だった横浜FMも浦和も敗れたため7位を確保してシーズンを終えました。因みに昨年の名古屋は順位は9でしたが勝点は50。ACL参戦1年目でリーグ戦との両立に苦しみながら、何とか中位を確保したと言う点で似ている、とも言えるでしょう。(名古屋はACLで準決勝まで、天皇杯は決勝まで進んだのに対して、こちらはナビスコ杯準優勝と言う違いはありますが。)名古屋がこの経験を今季に生かしたことが優勝に繋がったのだとすれば、広島が同じことをできないはずはない。名古屋のような大型補強は無理ですが、しかしこちらには「育成」と言う武器があります。怪我による選手の離脱を最小限に抑え、選手が順調に成長すれば来年はきっと今季以上の結果を残すことができるはず。今年得た手応えを、来季は「タイトル」と言う形で実らせて欲しいと思います。
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