今季最高の23,948人の観衆を集めて行われたJ1リーグ第13節横浜Fマリノス戦は、中島、佐藤寿、森崎浩のゴールで3-0で勝ち、順位を7位に上げました。
出場停止の高萩に代えて青山を起用した以外は前節と同じメンバーながら、森崎浩を久々にトップ下で起用して次の布陣で戦いました。
西川
森脇 ストヤノフ 槙野
青山 中島
(→丸谷73分)
ミキッチ 服部
(→横竹75分)
山崎 森崎浩
佐藤寿(→桑田80分)
SUB:中林、石川、清水、李
対する横浜FMは、GK:飯倉、DF:波戸、栗原、中澤、田中、MF:兵藤(→小野62分)、小倉、中村、山瀬(→齋藤83分)、FW:長谷川(→松田HT)、渡邉、と言うメンバーでした。前節は不甲斐ない試合で大敗したサンフレッチェでしたが、この日は立ち上がりから落ち着いてゲームを進めます。1分には槙野が右足でシュート。8分には相手パスのカットから佐藤寿が抜け出し、9分にも佐藤寿がゴールネットを揺らしましたがオフサイド。21分には山崎のパスから森崎浩が決定的なシュートを打ったものの、中澤が身体を投げ出してブロックします。逆に24分にはバックパスのボールを奪われ高い位置で横浜にボールを繋がれますが、最後は田中のシュートが上に外れて助かります。28分にはカウンターから山崎が決定的なシュート。29分にも山崎がCKのこぼれをバイシクルで狙い、36分にはミキッチがドリブル突破からグラウンダーで打ちましたがGKが横っ飛びで抑えます。チャンスを作りながらもなかなか点が取れずじりじりした展開が続いていましたが、ついに均衡を破ったのは36分のことでした。服部のクロスははね返されたものの、こぼれ球を佐藤寿が繋いで中島へ。コースを狙って打ったシュートは見事にゴールネットを揺らして、広島が先制しました。更にその2分後、佐藤寿が思い切って打ったミドルは当たり損なって流れたものの、拾ったミキッチが右サイドをえぐってクロス。いったんはクリアされたものの森崎浩が必死で足を伸ばして後ろに振ると、佐藤寿が胸で落として素晴らしいシュートを突き刺して追加点を奪います。その後はやや横浜に押し込まれたものの集中してはね返し、2点リードで前半を折り返しました。
後半、ボランチに松田を入れて中盤を強化した横浜は、ボールを支配して攻めの圧力を強めます。しかし広島はしっかりとブロックを作ってはね返し、虎視眈々と追加点のチャンスを狙います。10分にはカウンターから中島がシュートしたもののDF。11分には中村のシュートが広島ゴールを襲いましたが西川が弾きます。そして13分、青山が低い位置でボールをカットすると佐藤寿に預けてそのまま前に走ります。マイナスのボールを受けた山崎は前に持ち出して右サイドへスルーパス。DFラインの裏に抜け出した青山がGKとDF2人を引きつけて逆サイドに振ると、そこで完全にフリーになっていた森崎浩が難なく押し込み、広島が決定的な3点目をゲットしました。
その直後に横浜は、中村のロビングのパスを渡邉がボレーシュートと言う決定的なシーンを作ります。またその後投入された17歳の小野がはつらつとしたプレーでチャンスに絡みます。しかし広島も若手を投入して運動量を確保すると、しっかりした守備から次々とカウンターを浴びせます。32分にはこぼれ球を拾った山崎がそのまま持ち上がって佐藤寿にパスしたもののわずかに合わず。36分と37分にもカウンターから山崎が攻め上がります。38分には中島のパスを受けた桑田がそのまま相手ゴール前まで持ち込んでシュートしたものの、ボールは惜しくも右に外れます。その後横浜も中村のFK等で広島ゴールに迫ったものの西川を中心にはね返し、逆にカウンターから相手ゴールを脅かしつつ時計を進めて広島が危なげなく逃げ切りました。
過密日程と離脱者続出だった中断前の戦いでまずまずの結果を残し、次々と選手が戻ってくる中でチームの再構築を行って来たサンフレッチェ。オーストリアキャンプで手応えを感じ、帰国して迎えたJリーグの再開でしたが、しかし水曜日の初戦の結果は期待とは全く逆のものでした。運動量が上がらず自分たちのサッカーができず、ミスをきっかけに自ら崩壊し、レベルアップどころか中断前の力にも及ばないチームでした。このチームをどう立て直すかと言うことは、ペトロヴィッチ監督にとって今後のサンフレッチェを左右する最重要のテーマだったに違いありません。彼は中3日の日程の中で、まずメンバーのシャッフルから始めます。主力組から外されたのはストヤノフ、山崎、森脇。若手から抜擢されたのは、横竹、丸谷、桑田。これによって外された選手はもちろんのこと、全選手に衝撃が走ったことは想像に難くありません。そしてシャッフルしたメンバーによる2日間の練習を経て昨日の試合の先発に選ばれたのは、出場停止の高萩以外は全員がC大阪戦のメンバーでした。これは「主力組」に対する信頼の証であるのと同時に、「今度駄目だったら次は無いぞ」と言うメッセージが込められていたに違いありません。
結果は、まさに監督の意図した通り。練習で外された3人はいずれも90分間にわたって全力のプレーを見せて、勝利に大きく貢献しました。中でも山崎の活躍は今季最高レベルのもので、足りなかったのはゴールだけ、とも言えるほどだったと思います。また一方でペトロヴィッチ監督は、練習で抜擢した3人の若手を早めの時間帯から投入して試合を締めました。これは「控え組」に対する、監督からの信頼のメッセージだったのではないでしょうか。
監督がインタビューで語っているように、サンフレッチェの全メンバーが揃えば優勝も狙えるかも知れませんが、しかし残念ながら今は違います。森崎和、盛田らが離脱したままだと言うだけでなく、復帰した選手たちもまだまだ本来のパフォーマンスには至っていません。従って「今の状況では、安定して勝ち続けることが難しいのが現実」(ペトロヴィッチ監督)なのは確かだと思います。これからもC大阪戦のような惨敗もあるだろうし、横浜FM戦のような勝ちもあるかも知れない。しかしそれはきっと成長のプロセスとして、受け入れなければならないことなのでは無いかと思います。厳しい夏の戦いをどれだけ波を小さくして乗り切るか。そして秋以降上位争いに食いついてくるベースを作ることができるのか。それが、今のサンフレッチェにとって最も大事なテーマなのかも知れません。
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