ビッグアーチに今季最多の19,549人を集めて行われた第9節FC東京戦は、山岸、山崎のゴールで2-1で下し、6位をキープしました。
前節怪我をした森脇が欠場し、丸谷をリーグ戦初先発で起用して次の布陣で戦いました。
西川
横竹 中島 槙野
森崎浩 丸谷
(→桑田77分)
山岸 服部
高柳 山崎
(→李62分)
佐藤寿(→大崎86分)
SUB:中林、岡本、石川、清水
対するFC東京は、GK:権田、DF:椋原、森重、今野、長友、MF:徳永、梶山(→キム・ヨングン70分)、石川、羽生、FW:平山(→赤嶺28分)、リカルジーニョ(→重松62分)、と言うメンバーでした。前から積極的にプレスをかけてくるFC東京に対して、広島はいつものようにGKも含めたパスワークでかわそうとします。しかし疲れのためかミスが目立ち、パスを奪われて逆襲を食らうシーンが頻発します。5分には羽生のクロスに平山が頭で合わせたものの枠外。5分にも決定的なクロスを入れられますが、西川が対応します。また16分には石川が切れ込んで強烈なシュートを放ちましたが、ボールはバーが弾きます。広島も時折素晴らしいパスワークからチャンスを作り、8分には森崎浩のスルーパスから服部が右足で狙ったものの枠を捉えず、13分には高柳が強引に突破してシュートを狙ったものの権田が抑えます。運動量に勝るFC東京に押されるシーンが長かったのですが、しかし先制点を奪ったのは広島でした。西川からの低い弾道のパスからスタートして山岸がサイドチェンジ。これを受けた服部のクロスを佐藤寿がヒールで流すと、ぎりぎりのタイミングで抜け出した山岸が右から切れ込んでシュート。これが見事にゴールネットを揺らしました。
思わぬビハインドを背負ったFC東京は、更に攻めの圧力を強めます。城福監督は前半27分に早くも1枚目のカードを切り、何とか流れを変えようとします。31分にはパスミスを奪われ赤嶺がフリーになりましたがシュートミス。32分には石川のループシュートが枠外に外れ、39分の石川のミドルも枠を外れます。サンフも山崎が何度かチャンスに絡むものの、シュートはブロックされスルーパスは味方に合わず、両チームともチャンスは作ったものの広島が1点取っただけで前半を終了しました。
攻める東京、守る広島と言う図式は後半も変わらず。サンフはセカンドボールを拾えず波状攻撃を受けます。2分には羽生、6分には徳永、8分には赤嶺。東京のシュートを耐える展開が続きます。しかし後半10分、何度目かのCKから森重に頭で決められて、ついに同点に追いつかれてしまいました。
その後もリカルジーニョのシュートや重松のFKで広島ゴールを脅かす東京。21分には左からのクロスで決定的な場面を作られますが、西川が好セーブで凌ぎます。そして22分、広島らしいショートパスのつなぎで相手DFを揺さぶると、右サイドの深い位置に侵入した山岸がグラウンダーのクロス。これを中央で待ちかまえた山崎が押し込んで、待望の勝ち越し点を奪いました。
点を取るしかない東京は、それまで以上に攻めの圧力を強めます。これに対して守備の選手のいない広島は、中盤にフレッシュな選手を入れて押し返します。ロスタイムには大崎が抜け出してGKと1対1になりましたが、「頭が真っ白になった」と言う大崎のシュートはGK正面。逆に東京の攻撃には西川が立ちはだかります。結局その後スコアは動かず、広島が2-1で逃げ切って勝点を15に伸ばしました。
この日のサンフレッチェの出来は、決して良くなかったと思います。特にDFラインからのパス回しが不安定で、前半から何度もパスミスから決定的な場面を作られていました。また運動量が今一つで中盤の出足も遅く、セカンドボールを拾われて波状攻撃を受ける時間帯が続きました。失点したシーンはまさにそんな流れからのもの。相手の攻撃を何度もはね返しているうちに判断にぶれが出て、マークと飛び出しのタイミングがずれた、と言う感じに見えました。浦項戦でレギュラーの半分以上を休ませることが出来た、とは言え過密日程が続いた後で、少々休んだからといってすぐに疲れが取れるわけではなく、そんなコンディションの状態が現れたゲームだったと言えるでしょう。
ところがそれでも勝利できた要因の一つは「攻撃のクォリティ」に尽きると思います。例えば先制点のシーンのスタートは、こぼれ球を拾った森崎浩が横竹にパスを出したところから。そこから無理をせずパスを繋ぎ、相手が食いついてきたところで一気にスピードアップしてゴールを陥れました。その間、繋いだパスは22本。関与したのはピッチ上の全選手で、緩急のリズムと縦横のパスで相手の隙をうかがい、ここぞと言う場面では一気に連動してゴール前に殺到する、と言う広島らしい攻撃でした。また2点目もパスの本数こそ少なかったものの、やはり広島らしさを見せたもの。GKからスタートして、前線に預けても無理せずリベロまで戻す、と言うパス交換を繰り返しながら徐々に相手陣内に選手を送り込み、中島の縦パスを受けた李が反転したところでスイッチが入ります。そして李のドリブル突破こそブロックされたものの、「積極性がそう言うシーンを生んだ」(携帯サイトの李のコメント)ことによりボールが山岸の足下に入り、DFラインの裏まで突破して入れたクロスがドンピシャで山崎の飛び込みに合って2点目をゲットしました。この時にはFC東京は人数が足りていなかったのに対して李も佐藤寿も丸谷も飛び込んでいたわけで、多少の幸運に助けられたとは言え「得点は必然」とも言えるものでした。この日、FC東京が23本ものシュートを放ったのに対して広島は8本しか打っていませんでしたが、相手の守備を崩したシーンの数で言えば同じぐらいか広島の方が上。ボールを支配しながらもなかなか連動した動きが作れず、結局は個人頼みだった東京とのサッカーの完成度の違いが、この結果になったと言って良いでしょう。
昨年、特異なサッカーでJリーグに旋風を巻き起こしたサンフレッチェ。今年は(も)怪我人続出と過密日程に苦しんでいますが、しかしその中でもきっちりと結果を出しているのはチームの成長のお陰でしょう。「移籍組」の西川、山岸、山崎がチームにフィットし、昨年は病気でずっと苦しんでいた森崎浩が全体を引き締め、若手の横竹、丸谷が伸び伸びとプレーしてチームの質を落とさない。レギュラー級の選手が7人も欠けているとはとても思えないような結果を出せていると言うことは、本当に誇って良い事だと思います。W杯によるリーグ戦の中断まで残り2試合。ここをチーム全員の力で乗り切って、来年度のACL出場権獲得へ、そしてタイトル獲得へ前進して欲しいと思います。
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