昨日のJ1リーグ戦最終節は、佐藤寿の2ゴール等で4-1で京都を破り、J1昇格1年目のシーズンを4位でフィニッシュしました。
森脇の怪我で久々に李漢宰を右WBで起用し、また森崎浩を2試合連続で先発させて次の布陣で戦いました。
中林
槙野 中島 盛田
柏木 森崎和(→岡本83分)
李漢宰 服部
(→李忠成79分)
森崎浩 高萩
(→横竹28分)
佐藤寿
SUB:下田、岡本、高柳、平繁
対する京都は、GK:水谷、DF:水本、染谷、李正秀、森下、MF:佐藤勇、林(→中山64分)、安藤(→宮吉45分)、角田(退場83分)、FW:ディエゴ、柳沢(→上里83分)、と言うメンバーでした。ビッグアーチのスタンドが紫と白に染め上げられたのは、2年前のJ1/J2入れ替え戦以来。アウェイチームもその時と同じ京都サンガでしたが、しかしピッチ上に描き出されたサッカーは全く別、と言って良いもので、序盤から広島のパスワークが炸裂します。6分の佐藤寿のパスを森崎浩が叩き込んだシーンはオフサイドを取られたものの、その1分後にはパスが縦横に繋がってDFラインからの森崎和のロングボールが右サイドへ。ここに飛び込んだ李漢宰のボレーシュートは水谷の好セーブに阻まれましたが、こぼれを佐藤寿が右足で押し込んでサンフレッチェが先制点を奪いました。
その後もペースは広島。11分には服部のシュート性のクロスがゴールをかすめ、17分の森崎浩の右足のミドルはバーを舐めるように外れます。28分には森崎浩が足を痛めて横竹に交代してしまいましたが、その後も攻撃の手を緩めません。37分には素晴らしいパスワークで柏木が飛び出してGKと1対1になりましたが、好セーブに阻まれます。しかし42分、右からの李漢宰のCKを盛田が高い打点のヘッドでゴールネットに突き刺して、2点リードで前半を折り返しました。
後半も広島のチャンスから始まって、1分には柏木が決定的なシュートを打ったもののGKに阻まれます。しかしその後も京都が反撃し、柳沢をペナルティエリア内で倒したシーンではファウルは取られなかったものの、後半7分に盛田がディエゴを倒してPK。これを自ら決められて、1点差に迫られてしまいました。
しかし広島はすぐに反撃。後半16分に李漢宰のCKを槙野が胸トラップからシュートを決めて、リードを再び2点に広げます。更に21分には左サイドの遠い位置から槙野が強烈なFK。GKが弾いたボールに佐藤寿が反応し、ジャンピングボレーで叩き込んでダメ押しとも言える4点目をゲットします。そしてその後も広島が攻撃の手を緩めないまま、終了のホイッスルを聞きました。
試合後に京都の加藤監督は「前節J1残留を決めて選手たちに気持ちの緩みがあった」と語っていましたが、確かに京都の戦いぶりには迫力が欠けていた、と思います。特に1点差に追いつかれた後に突き放し、第18節以降久々に4点を奪って勝てた要因の一つが相手にあったのは間違いない、と思います。ただ、だからと言って簡単に勝てるほどJ1は甘くないわけで、仮に早い時間帯に先制点を取れなかったら、前半終了間際の2点目が無かったら、あるいは1点取られた後すぐに3点目が取れなかったら、試合は楽なものにはならなかったと思います。特にサンフレッチェは4位確保のためには絶対勝ちたいゲームだったのに対して、京都はプレッシャーが無い試合。その状況の違いが精神的なプレッシャーの違いとして出ていた可能性だってありました。しかしそこで落ち着いて自分たちのサッカーを貫いて、結果的には「快勝」と言える結果を残したことは、チームの成長の現れだと言って良いでしょう。4位でフィニッシュできたのは多少の運もあったかも知れませし、ACLの出場権を得るには本当に幸運が巡ってくる必要があるわけですが、それを引き寄せたのは間違いなく選手たちと監督・スタッフの力です。J1に昇格したばかりのチームとしては最高の順位。1ステージ制導入以来最も多い勝点56と得点53と言う結果。そしてJリーグの歴史の中で年間2位だった1994年に次ぐ好成績を挙げる事ができたこと。そしてこれらを主力に故障者が続出した中で成し遂げたことは、魅力的なサッカーを展開したことと合わせてサポーターとして誇りに思います。これだけの成績を残せば、次の目標は当然優勝。監督や選手の契約の問題を早くすっきりさせて、来季に向けてスタートを切って欲しいものです。
ところでこの試合で今季初めて森崎浩司選手のプレーを見たのですが、ほぼ1年のブランクがあったにも関わらず質の高いプレーを見せていたのには驚きました。ボールの持ち方の良さやパスの精度の高さはもちろんのこと、6分の幻のゴールのように相手にとって危険なところに何度も顔を出していたのは試合勘の点で問題が無いことの現れでしょう。また17分の強烈なシュートは苦手なはずの右足でのもの。怪我のため前半途中で下ってしまいましたが、フルタイムで(あるいは行けるところまで)プレーしていたならば1点や2点はゲットしていたのではないでしょうか。ペトロヴィッチ監督は森崎浩が復帰してから練習試合で試運転することもなくリーグ戦で起用していますが、それも頷けるようなプレーだったと思います。怪我は森脇と同じように側副靭帯の損傷ではないかとのことですが症状は軽そうなので、来季は開幕からプレーする姿が見れそうです。
一方、この日の試合がサンフレッチェでの最後となってしまった李漢宰選手ですが、この日のプレーはもしかするとこれまで在籍した9年間でベストだった、と言って良いかも知れません。佐藤寿の先制点に繋がった飛び出しは素晴らしいタイミングでしたし、後からのボールを一発で枠に飛ばしたボレーは技術的な難易度の高いもの。李漢宰本人は「あれがどうして入らないのか。それが、俺の人生なんです」と自嘲気味に?振り返っていますが、彼の選手としてのクォリティの高さを見せつけたシュートだった、と思います。またCKとFKでは何度も良いボールを蹴っていましたし、実際に盛田と槙野のゴールに繋がりました。試合後に加藤監督が「李漢宰から出てくるボールに対し、プレスがかかっていない状況だった」と角田と李正秀の位置を入れ替えた意図を語っていますが、これこそまさに彼の存在が相手にとって脅威だったことの証明でしょう。ここで彼を失うことはチームにとっては大きな痛手ですが、しかし彼はまだ27歳。このままサブのまま終わる選手でも無いでしょう。「対戦相手としてビッグアーチに戻って来たい」と言う言葉が本当になるように、彼の未来が輝くように祈りたいと思います。
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