昨日19.349人を集めたビッグアーチで行われた第37節愛媛戦は4-1で広島が勝ち、山形、湘南が敗れたため2位以上が確定してJ1復帰が決まりました。
前節から1人を入れ替え森崎和を左ストッパーに入れて、次の布陣で戦いました。
佐藤昭
槙野 ストヤノフ 森崎和
青山 森崎浩
李 服部
柏木 高萩(→結城61分)
(→高柳76分)
佐藤寿(→久保78分)
SUB:中林、桑田
対する愛媛は、GK:川北、DF:関根、金守、高杉、三上、MF:赤井(→宮原61分)、青野、横谷、江後、FW:内村(→三木74分)、田中(→若林84分)。最初のシュートは1分で、ストヤノフのロングボールを服部が落として佐藤寿が狙いましたがDFに当たります。5分にはカウンターから内村がシュートしたものの枠外。9分には李のマイナスのパスを走り込んだ森崎和がシュートしたものの上に外れます。11分には柏木のDFラインの裏へのパスに佐藤寿が走り込んだものの打ち切れず。その後も引いて守る愛媛の壁を崩すことができません。しかし25分、ストヤノフの上がりから作ったチャンスで青山のクサビのパスを受けた佐藤寿が反転してシュート。このボールが右のポストに当たって内側に跳ね返り、待望の先制点を奪うことができました。
これで緊張感が取れたのか、両チームとも速い攻撃でチャンスを作ります。29分には青山がミドルシュートを打ちましたがGKがキャッチ。33分には青野の右からのクロスに内村が頭で合わせましたが枠外に外れます。そして35分、高萩のパスで右サイドの深い位置まで入り込んだ李がゴール前を横切るクロス。これを服部がジャンピングボレーで叩き込み、前半のうちに追加点を奪うことに成功しました。そしてその後も広島はストヤノフのミドル等で攻める姿勢を崩さず、2点リードで折り返しました。
後半もポゼッションして攻める広島に対して、低い位置での守りからカウンターを狙う愛媛、と言う構図。1分には森崎浩がFKを枠に飛ばしたもののGKにキャッチされ、3分には青野の強烈なミドルが広島ゴールを襲いましたがポストが弾き、5分には柏木がドリブルで突き進んで右足でシュートしたものの枠外に外れます。そして7分、森崎浩が素早い出足で相手ボールをカットすると、そのまま右サイドに持ち込んで切り返してシュート。これがGKの横を抜けてゴールネットに突き刺さり、リードを3点に広げました。
ペトロヴィッチ監督は後半16分、結城をストッパーに入れて森崎和をボランチに上げます。そして17分、右サイドから柏木が仕掛けようと見せかけて横パス。これを森崎浩がワンタッチでDFラインの裏にスルーパスを出すと、走り込んでいた青山が決めて決定的な4点目を奪いました。
その後もボールを支配して攻めを構築する広島。愛媛のパスミスや高い位置でのボールカットから、何度もチャンスを作ります。33分には大歓声を受けながら久保がピッチに入り、いきなり李のクロスに頭で合わせて場内を沸かせます。41分には久保のキープから高柳が決定的なヘディングをしたものの枠外。43分にはバイタルエリアに走り込んできた横谷にミドルシュートを決められて1点を返されましたが、こちらも46分に久保のヘッドなどチャンスを作り続け、ロスタイム3分も無難に過ぎて終了のホイッスル。ビッグアーチはピッチもスタンドも一体となって歓喜に酔いしれました。
ペトロヴィッチ監督は他のゲームの結果を知らせていなかったそうですが、インタビューを見ると何人かの選手は勝てば昇格決定、と言う事は試合前から知っていたそうです。そのためか序盤はやや動きが硬く、愛媛のゴール前のブロックをなかなか突き崩すことができませんでした。しかし、そんなじりじりする展開の中で飛び出した佐藤寿のゴール。青山のクサビのパスをスペースに落とし、反転してGKとゴールポストの間を狙うと言う難易度の高いものでした。更に素晴らしかったのは服部の2点目で、李の正確なクロスを直接叩いてゴールネットに突き刺しました。昨日の広島はDFラインと中盤の連携がやや悪く愛媛に何度かチャンスを作られていましたが、それを上回る攻撃力で相手を打ち破った、と言う感じ。攻撃を前面に出したチーム作りを進めてきた成果がここに出た、と言って良いでしょう。
思えば降格が決まったのは昨年の12月8日。場所は同じビッグアーチでした。佐藤寿やストヤノフの「チーム残留宣言」はあったものの多くの選手の心が揺れ動き、結局は駒野と吉弘を失って今シーズンをスタートすることになりました。森崎和ら主力に怪我が相次ぎキャンプではチーム作りがなかなか進まず、練習試合の成績は5分け10敗。不安を抱えたままでのシーズンスタートでした。スーパーカップで勝ち、開幕から3連勝したもののなかなか試合内容は良くならなかった序盤戦。怪我人の続出が続いて、紅白戦もできずユースから選手を借りて戦わなければならない期間も長く続きました。そんな中、チームを救ったのは昨年まで出場機会が少なかった選手たちでした。昨年3試合、6試合の出場にとどまった高萩と李は完全にレギュラーポジションを獲得し、平繁と森脇は怪我をするまでは何度もチームの危機を救いました。下田が不在だったゴールマウスは木寺が守り、彼の離脱後は佐藤昭がカバーしました。久々に復帰した久保も貴重なゴールを何度も決め、移籍してきた結城、楽山の貢献も大きなものでした。サッカーは11人で戦うものではない、とは良く言われることですが、まさに控え選手も含めたチーム全員の力で勝ち取った昇格だ、と言って良いのではないでしょうか。
そしてその力を引き出したのは、新しい体制で今季に臨んだフロントと、降格した責任を取るため引き続き指導したペトロヴィッチ監督、そしてコーチたちだったと言えるでしょう。「J1に復帰したからと言っても降格の責任を免れるわけではない」と言う言葉に一理あるのは確かですが、しかしJ2降格と言う事態に伴って起きる混乱を最小限にとどめ、チームを立て直したのは間違いなく彼らの力です。とにかく今日はご苦労様、と言いたい。そして明日からはまた優勝、天皇杯、そして来季に向かって走り始めて欲しいと思います。
日刊スポーツスコア
中国新聞記事1、
中国新聞記事2、
中国新聞記事3
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