アジア杯オーストラリア戦
アジアカップ準々決勝は、PK戦の末オーストラリアを下し、日本は3大会連続でベスト4に進出しました。
日本代表のメンバーはベトナム戦と同じで、GK:川口、DF:加地(→今野88分)、中澤、阿部、駒野、MF:遠藤、中村俊、鈴木、中村憲(→矢野115分)、FW:巻(→佐藤寿102分)、高原。立ち上がりは積極的に点を取りに来たオーストラリアでしたが、前半11分のヴィドゥカのシュートが川口の胸に収まるとその後は日本のペース。中澤、阿部を中心とした日本の守備陣の対応は素晴らしく、ヴィドゥカ、アロイジに仕事をさせません。またカーニーやエマートン、ブレシアーノが2列目からの飛び出しを図りますが中盤とDFとで挟み込んで対応して、ピンチを未然に防ぎます。前半途中から走れなくなってしまったオーストラリアはラインを下げて守りを固め、日本がボールをキープする時間が増えます。日本はボールを動かして相手のマークをずらし、素早いパス交換から相手の守備を崩そうとします。そして37分の遠藤、41分の高原など決定的なチャンスも作りますが決め切れず、前半はお互いに慎重な戦いでスコアレスで折り返すことになりました。
後半は引いて守るオーストラリアの守備陣を、日本が何とかこじ開けようとする展開が続きます。真ん中へのクサビのパス。サイドチェンジ。ショートパスのつなぎ。何とか相手を動かしてマークをずらせようとするものの、オーストラリアの高い壁は揺るぎません。そして後半26分、オーストラリアの右からのCKのボールがゴール前をすり抜け、ファーで待ちかまえていたアロイジが詰めてゴール。日本は先制点を許してしまいました。しかしその3分後、細かいパス交換で左サイド深く入った中村俊が高いクロス。ファーで巻が落したボールは一端クリアされかかりましたが高原がうまく捕まえ、反転して左足でシュート。GKの脇を抜けたボールはポストの内側に当たり、日本は良い時間帯に追いつくことができました。
その直後にグレッラが退場処分になったオーストラリアは、キューウェルをワントップで残して貝のように閉じこもります。日本は何とかこじ開けようとするものの、ラストパスの精度が悪く、またシュートの決断も遅い感じでどうしても決めることができません。延長に入ってオシム監督は佐藤寿、矢野を投入して120分で決着を付けようとしましたが、ここぞと言うところでのシュウォルツァーの好セーブやDFの身体を張ったプレーもあってゴールを奪えず、勝敗の行方はPK戦に委ねられることになりました。
そしてPK戦は、前回のアジアカップ同様に川口の独壇場。キューウェル、ニールのコースを完全に読み切ってストップし、PK戦を有利に進めます。結局日本は高原が外したものの中村俊、遠藤、駒野、中澤が決めて、長い戦いに決着を付けました。
ドイツW杯から1年。その後徐々にチーム作りを進めてきたオシム・ジャパンにとって、この試合は一つの到達点を示す重要なものだった、と思います。相手は初めてのアジアの戦いに苦しんでいるとは言え、ヨーロッパで活躍する選手を揃える強豪・オーストラリア。もちろん、昨年ドイツの地で苦杯を舐めた相手でもあります。一方の日本代表は1年をかけてメンバーを絞り込み、ようやくここに来てチームを固定して臨んだわけです。つまりこの1年間にやってきたこと、特に目指すサッカーの方向性が正しかったのか否かが問われる戦いだった、と言えるわけです。
そしてその試合で見せた日本のパフォーマンスは、ほぼ狙い通りだったと言って良いのではないでしょうか。ベトナムの蒸し暑さのため運動量こそ上がらなかったものの、そうなることは十分に織り込み済み。ボールを走らせ相手を動かしちょっとした隙間から攻撃を仕掛けよう、と言う意図は九分通りうまく行っていた、と思います。点が1点しか取れなかったのは誤算と言えば誤算でしたが、守りに専念する相手を攻めあぐむのはサッカーでは良くあること。むしろそんな時間帯が長かったにも関わらず決して焦らずあの手この手で攻撃を組み立てようとしたこと、そして逆に相手のカウンターやロングスローからの攻撃をしっかりと抑え切って「事故」からの1失点にとどめたことは、高く評価すべきでしょう。そしてオシム監督が「運」と表現するPK戦ですが、これも勝てたのは事前のスカウティングと選手の落ち着きがあったからこそ。この勝利はオシム監督と代表選手の力のみならず、日本のサッカー全体の勝利だと言えます。
もちろん、課題はあります。特にここぞと言うところでのパスと動き出しの精度。そしてパスを選ぶかシュートを選ぶかの正確な判断、更に決断力。特に疲れていても頭の回転を速くして、相手よりも0.1秒でも速く動き出し、ボールを動かすと言うことは、もっともっとできるようにならなければならない、と思います。しかし少なくとも進んでいる方向は間違いないし、このまま行けばアジアレベルを越えて行くことができる。日本人らしいサッカーが代表によって表現できるだろうと言うことが確認できたのが、この試合の最大の成果だったと言えるのではないでしょうか。
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