昨日ビッグアーチで行われたJリーグ第4節横浜FM戦は、ウェズレイのJリーグ通算100ゴールで先制したもののその直後に追いつかれ、更に後半突き放されて1-3で敗れました。
下田
森崎和 戸田 盛田(→平繁60分)
青山
駒野 服部
柏木 森崎浩
佐藤寿 ウェズレイ
SUB:木寺、吉弘、ダバツ、高柳、桑田、高萩
対する横浜FMのメンバーは、GK:榎本、DF:田中隼、栗原、中澤、田中裕、MF:吉田(→狩野45分)、山瀬功、河合、山瀬幸、FW:大島(→ハーフナー81分)、坂田(→乾87分)。立ち上がりは積極的に動いてきた横浜FMのペースでしたが、広島が落ち着きを取り戻して徐々に押し返すと、先制点を奪ったのは9分。カウンターからウェズレイのパスを受けた柏木がDFの頭越しのパス。上がっていた服部が頭で落とし、ここに飛び込んだウェズレイが押し込みました。ウェズレイの通算100ゴールの記念弾でしたが、しかしそのリードは1分しか続かず。直後の田中隼のアーリークロスを大島に頭で決められ、あっという間に同点に追いつかれてしまいました。
その後前半はずっと広島がボールを支配し、何度も横浜ゴールに迫ります。26分には森崎浩のFKに青山が合わせGKがこぼしましたが何とかセーブ。32分には戸田のロングフィードで抜け出した柏木がドリブル突破を図り、33分には青山が強烈なミドルを放ちましたが榎本が横っ飛びで弾き出します。38分には森崎浩のロングフィードを服部がワンタッチで中にいれましたが、佐藤寿にはわずかに合わず。40分には佐藤寿、42分には服部が、いずれもウェズレイの卓越したキープ力から得たチャンスから決定的なシュートを放ちますが、決め切ることが出来ません。前半は広島がチャンスを量産したものの1点しか奪うことが出来ず、逆に横浜はワンチャンスを決めて同点のままハーフタイムを迎えることになりました。
「良い内容だった」とのペトロヴィッチ監督の言葉を受けて、後半も同じような戦いを進めようとしたサンフ。しかしここ数試合後半の早い時間帯にやられているためナーバスになっていたのか、やや腰の引けた立ち上がりとなってしまいます。逆に横浜は若い狩野を投入し、右サイドをかき回しにかかります。そして2分、横浜左からの突破からのクロスをいったんは弾いたものの坂田に拾われ、右でフリーになってしまった山瀬功へ。これを冷静に決められて、痛恨の失点を喫してしまました。更に6分、狩野に右から放り込まれ、中央で待ちかまえていた大島に頭で決められます。前半の良い内容が無駄になってしまうような、「魔の6分間」となってしまいました。
これですっかり落ち着いた横浜。逆に焦りの色が濃くなる広島。ボールは繋ぐものの相手を崩す動きができず、なかなかチャンスを作れません。ペトロヴィッチ監督は後半20分には盛田を下げて「2バック」とし、3トップに逆転の可能性を賭けます。22分にはウェズレイがFKを直接狙いましたがわずかにバーの上。24分には森崎浩が強烈なミドルを放ちましたが、河合の身体を張った守備に防がれます。駒野が何度も右サイドを崩してクロスを入れるものの次々と中澤にはね返され、佐藤寿のシュートはことごとく枠を外します。特に決定的だったのは後半42分のシーンで、駒野の強烈なミドルシュートをGKがこぼし、ここに詰めていた佐藤寿は押し込むだけと言う形でしたが、たまたま当たり所が悪かったのか枠を外してしまいます。結局サンフは後半10本のシュートを打ったものの空砲に終わり、不調だった横浜FMに嬉しい勝利をプレゼントしてしまいました。
この試合のポイントは、結局のところ取るべきところで点が取れなかったことに尽きる、と思います。前半の広島のシュートは5本でしたが、これらはいずれも決定的なもの。特に40分のチャンスはウェズレイが十分に相手を引きつけて佐藤寿に優しくヒールパスを出したと言うもので、エースとしては絶対に決めなければならないシーンだった、と言えるでしょう。またそれ以外にも相手ゴール前に攻め込むシーンは数知れず。逆に横浜は攻め手を見出せない状態で、前半だけで4-1, 5-1になっていても不思議ではない展開でした。そこで打つべきシュートを打たず、決めるべきシーンの決めることが出来なかったことが、後半の展開に繋がってしまった、と言わざるを得ないでしょう。
また、もう一つ大きかったのは横浜の1点目。序盤の相手の攻勢を凌いで美しい攻撃から先制し、「行ける」と言う気持ちになったところに冷水を浴びせるような失点でした。田中隼に自由にクロスを上げさせたこと、大島に付いていた森崎和がマークを離してしまったこと、そして下田が出ることができなかったことなど原因はいくつかあったと思いますが、それにしても特に工夫も無い攻撃に対してあっさりと膝を屈したものです。中澤も言っているように、この得点は横浜に勇気を与えるものであったと同時に、サンフが相手を突き放すチャンスを自ら手放してしまったものと言えます。後半の失点シーンと合わせてほとんど「自滅」とも言うべき失点を繰り返していては、勝てるはずはありません。
ただその一方で、この敗戦で「確信」を失ってはならないとも思うのです。ナビスコ杯を含めて公式戦4連敗。特に総失点が11と言う事態は客観的に見れば「どん底」ですが、しかし試合内容はずっと悪くは無いのです。むしろリスクを冒して攻めるサッカーを試みているからこそ失点が増えているだけで、後はちょっとの運、不運に左右されているのだろうと思うのです。もちろん、だからと言って修正すべき点がないわけではないと思いますが、しかしそれ以上に怖いのは、結果を求めるあまり弱気になって、せっかくここまで積み上げてきたものを自分で崩してしまうことだ、と思います。チーム全体に不信が蔓延して、バラバラになってしまうことだと思います。まだシーズンは始まったばかり。ペトロヴィッチ監督とサンフレッチェの挑戦も、始まったばかりです。ここで立ち止まらずに前進し続ければ、きっとこの壁を破ることが出来るはず。今はただひたすらそれを信じて、戦い続けるしかないのだと思います。
日刊スポーツスコア
中国新聞戦評
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