昨日埼玉スタジアムで行われた浦和戦は、終盤まで互角に戦ったものの後半41分に勝ち越しを許し1-2で敗れました。
このところ3試合は負け無しだったということで、ペトロヴィッチ監督はこれまでと同じメンバーでこの戦いに臨みました。
下田
森崎和 戸田 ダバツ(→前田89分)
青山
駒野 服部
柏木(→李77分) 森崎浩
佐藤寿 ウェズレイ
SUB:木寺、盛田、高柳、中里、上野
対する浦和はワシントンと鈴木が怪我のためベンチにも入らず、GK:山岸、DF:堀之内、闘莉王、坪井、MF:平川、酒井、長谷部、三都主、小野(→山田65分)、FW:永井(→黒部78分)、田中達(→ポンテ45分)。立ち上がりは浦和のペースで、1分に永井、3分に平川がDFラインの裏に抜け出して決定機を作られますが、シュートミスと下田の好セーブに助けられます。また16分にも高い位置でパスを奪った酒井を削って戸田にイエロー。FKを闘莉王が蹴りましたが下田ががっちりとキャッチし、22分の三都主のシュート、24分の小野のシュートはいずれも下田が防ぎます。最初の30分は押し込まれる展開の多かったサンフですが、徐々に運動量で上回り中盤での圧力を強めると、狙い通りのサッカーが出来るようになっていきます。30分には柏木が右サイドを脅かして駒野へ戻し、そのクロスに佐藤寿が合わせましたが惜しくもGK正面。32分にはカウンターからウェズレイがキープし佐藤寿が裏を狙いますが、ウェズレイのパスが悪くチャンスを潰します。そして35分、左サイドの高い位置でボールを受けた闘莉王がドリブルで突き進み、フェイントを入れてシュート。このボールは強烈な弾道でファーサイドのネットに突き刺さり、先制点を許してしまいました。
しかしこれでサンフは落ち込むことなく、攻撃のギアをアップさせます。38分には2度に渡って青山が右を突破して好クロスを入れる等チャンスを作ります。そして39分、逆サイドからのショートコーナーからウェズレイが思いきってゴールを狙うと、GKの逆を突いたボールは見事にネットを揺らし同点に追いつくことに成功しました。更に41分には駒野のボールに佐藤寿がニアで合わせ、43分にはウェズレイがループ気味にミドルを狙いましたが惜しくも外れます。前半は浦和ペースから広島が盛り返した、と言う展開で、ハーフタイムを迎えることになりました。
消えていた田中達に代えてポンテを投入したブッルバルト監督に対して、ペトロヴィッチ監督はメンバー交代なしで後半に臨みます。2分には駒野が右サイドを突破してクロス。これを逆サイドに詰めていた服部がミドルを狙いましたが枠外。6分にはダバツの攻め上がりからチャンスを作り、相手のゴール前でボールを繋いで波状攻撃を仕掛けますが攻め切れません。9分にはダバツのクロスを佐藤寿が落とし、ウェズレイが飛び込みましたがDFにクリアされます。浦和もポンテのシュートや闘莉王のヘディングなどで広島ゴールを脅かしますが、下田が落ち着いて対処します。後半20分に小野に代えて山田、32分に永井に代えて黒部と元代表選手を次々と投入して流れを変えようとする浦和。サンフも奮闘していた柏木に代えて李を投入し、中盤の運動量を維持しようとします。そして38分にはその李が右サイドの深い位置に侵入し、パスを受けた駒野が強烈なシュートを見舞いましたがGKに弾かれ、こぼれを狙った森崎浩のシュートも枠を外れます。更に40分にはウェズレイのロビングボールを佐藤寿が左足で落とし、飛び込んだ李がダイレクトで狙いましたがポストを叩いて枠を外れます。そしてその直後、三都主がドリブルで突き進んでGKとDFの間に速いクロス。ここに飛び込んだ山田に押し込まれて、痛恨の失点を喫してしまいました。
これで点を取りに行かなければならなくなったサンフは、DFを1枚削って前田を投入します。しかしさすがに中盤の運動量が落ちたのか、なかなかボールを繋いで運ぶことができずロングボールを放り込んでクリアされる、と言う展開となってしまいます。一度だけ前田がドリブルで進んだシーンがあったもののファウル気味のチャージで止められると、最後は広島陣内で終了のホイッスルを聞くことになりました。
こちらは降格圏ぎりぎりにいるのに対して相手は優勝を争っているチーム。その上これまでの相性は最悪ということで苦戦が予想されましたが、実際に前半の前半は苦しい展開を強いられました。しかしここを何とか凌ぐとその後は互角以上の出来。相手にボールを繋がれドリブルで仕掛けられても慌てずに対処し、逆にウェズレイのキープと柏木の激しい動きから何度も浦和守備陣に冷や汗をかかせました。李が自身のホームページに書いているように先に追加点を奪うことができていれば、勝ち点3を手にしたのはこちらだっただろう、と思います。これまで一方的にやられることの多かった浦和戦でここまで戦えることを示したことは、ペトロヴィッチ監督の目指す方向性が間違っていないことを示している、と言えるでしょう。早い時間帯から次々とフレッシュな選手を投入してきた浦和に対して広島の対応が遅れたのが敗因、と言えば敗因ですが、それもチーム全体の層の厚さの反映です。ベンチに代表クラスをずらりと揃えている浦和に競り負けたからと言って、卑下する必要はありません。むしろピッチに出ていた選手たちが最後まで走り戦ったことは、狙っていたサッカーが浸透してきた証拠だと言えるでしょう。負けはしたものの選手たちは堂々と胸を張って、広島に戻ってきて良いと思います。
ただ逆に言えばそう言う試合だったからこそ、勝ち点を1つも取れなかったのは残念だった、と言わざるをえません。守備の高い集中力で相手の攻撃をはね返し、人数をかけた素早い攻撃から相手ゴールを陥れようとするサッカーがある程度できていただけに、もう一押しして先に点を取れなかったのは残念でした。良いサッカーができていたとは言え、勝ち点が0だったというのが現実で、16位京都が勝ったため降格圏もちょっとだけ近づきました。ここで気を緩める事があれば、きっとしっぺ返しを受けるでしょう。この「善戦」の本当の価値は、次の大宮戦で勝ち点3を取れるかどうかで決まるのではないでしょうか。