昨日万博で行われたJリーグ第23節G大阪戦は、前半早々に2点をリードしたもののひっくり返され、首位が遠ざかる痛い1敗を喫しました。
前節怪我のため欠場したベットが復帰。また森崎浩をFWで起用して、サンフレッチェはG大阪に負けない攻撃的布陣で戦いを挑みました。
下田
ジニーニョ 小村
駒野 服部
森崎和
ベット 李(→西河67分)
森崎浩(→大木54分)
佐藤寿 ガウボン(→前田67分)
SUB:上野、高柳
対するG大阪のメンバーは、GK:藤ヶ谷、DF:シジクレイ、宮本、山口、MF:遠藤、アラウージョ、家長(→松波85分)、渡辺(→二川45分)、橋本、フェルナンジーニョ(→森岡85分)、大黒。強力な攻撃力を持つG大阪に対してガチンコ勝負を挑んだサンフは、前半1分いきなり先制点を奪います。左からのCKを蹴った李のボールは鋭く中央へ。ここに後ろから飛び込んだガウボンがDFの前で頭に当ててゴール。チームトップタイに並ぶ8ゴール目を決めました。その後もサンフは積極性を失わず、服部の強烈なミドルシュートや駒野のクロスに合わせた佐藤寿のシュート等でガンバゴールを脅かします。そして14分、ガウボンからの折り返しを受けた李がGKの位置を良く見てループ気味のシュート。これが見事に決まって、サンフは怒涛の攻撃で2点をリードしました。
しかし、殴られても殴り返すのが今年のガンバの強さの源。これですっかり目を覚ましたガンバに、直後に1点を返されます。前半15分、右サイドで駒野?が倒されボールを奪われ、そのままアラウージョが持込みシュート。ブロックに入った小村の足に当たったもののこれがかえって悪く、コースが変わったボールには下田も反応できずにゴールネットを揺らされてしまいました。
これで一気に流れをつかんだガンバは、攻めの圧力を高めてきます。フェルナンジーニョとアラウージョの驚異的なキープ力に広島の選手が2人、3人と引き寄せられ、サイドをフリーにしてしまって抜かれるシーンが続出。特に茂原不在の影響か駒野が1対1にさらされることが多く、押し込まれる展開が続きます。そして前半26分、中盤からのロビングのパスで抜け出そうとした家長を駒野が倒します。足がかかっていたかどうか微妙でシミュレーションと取られても不思議でないシーンでしたが、主審の判定はPK。このボールを遠藤が冷静に決めて、同点に追いつかれてしまいました。その後もカサにかかって攻め込んで来るガンバ。サンフはベットや森崎浩のビルドアップからDFラインの裏を狙おうとしますが、ガウボン、佐藤寿へのパスが合わずに決定機を作れません。41分には佐藤寿がこぼれ球をシュートしましたが惜しくも枠を外れ、激しい攻め合いのまま同点で前半を折り返しました。
後半、西野監督は怪我から復帰したばかりの二川を右WBに起用して勝負をかけてきます。サンフは立ち上がりこそガンバ陣内に攻め込みましたが、徐々に押し返されるとDFラインに張り付く時間が増えます。そして6分、森崎和が攻め上がろうとした瞬間にカットされ、左サイド深く侵入され遠藤がクロス。ゴール前中央でフリーになっていたアラウージョがこのボールを無駄にするわけもなく、頭で決められついにリードを許しました。
絶対に負けるわけには行かないサンフは、その1分後に森崎浩がガンバの右サイドの裏に突破して決定的なクロスを入れ、佐藤寿が飛び込んだもののわずかに合わない、と言う場面を作ります。反撃の狼煙を上げた、と言って良いシーンでしたが、しかしその直後に森崎浩は天を仰いだまま立てず担架で運ばれてしまいました。急遽大木が投入されたもののつかみかけた流れは泡のように消え去り、ガンバの再びの攻勢にたじたじとなってしまいます。そして後半14分、今度は二川からのパスを受けたアラウージョがペナルティエリア内から思い切ったシュート。これがまたもやDFに当たって軌道が変わり、下田の反応の及ばない範囲に飛んでハットトリックを許してしまいました。
これで完全に余裕を持ったガンバは、サンフの中盤をズタズタに引き裂いて何度もチャンスを作ります。小野監督は22分に早くも残った2枚のカードを切って勝負に出ますが、気持ちがダウンしたサンフの選手はゴール前で耐えるのが精一杯。下田が必死で奮闘するシーンばかりが続きます。しかしそんな時、フィールドプレーヤーでただひとり、諦めなかったのが佐藤寿でした。疲れた身体に鞭打って猛烈な頑張りを見せてピッチ上を走り回り、チームメイトを鼓舞します。そして森崎和、前田、大木らがこれに応えて、何とか1点でも取ろうと挑みます。しかし2点リードで落ち着いたガンバの守備は最後まで崩れることはなく、2-4の悔しい敗戦に終わりました。
この試合を一言で表現するならば、「力負け」と言って良いと思います。サンフは小細工を弄せず、ガツンとぶつかりに行ってそのまま砕けた。2-4と言う結果は両チームの得点力、ここまでの勢いの差がそのまま出た、と言うことなのだろうと思います。優勝争いに顔を出そうというサンフレッチェにとって、この結果はこれまで築き上げた自信を打ち砕かれたような気分だったかも知れません。特に絶好調のアラウージョとフェルナンジーニョのキープ力と突破力、そして周りの選手をも使えるクレバーさは飛び抜けていて、ちょっとやそっとの組織力では何ともならないのではないか、と言う印象さえ受けました。ガンバがここで首位に立ったのはフロックでも何でもないこと、優勝を狙うにふさわしいチームである事を見せつけられたような気がします。
ただ、このガンバも一朝一夕でできたチームでは無いことを忘れてはいけない、と思うのです。西野監督がこのチームの指揮を執ったのは2002年から。その年は1st stageに4位、2nd stageに2位と言う成績を収めたものの、翌年は1st stageは12位、2nd stageは7位に沈みました。その間に新井場が去り、吉原や宮本ら主力選手と監督との不協和音の噂もありました。そんな状況にサポーターが危機感を募らせ、チーム改善を求める署名活動までしていたものでした。しかしその間にガンバは休むことなく大黒、二川、橋本らを育て、着実にチーム力を高めてきました。そして昨年1st stageは4位、2nd stageは3位。アラウージョはあくまでラストピースで、その前に十分に準備してきた事がこの結果に繋がっている事を忘れてはならない、と思います。
昨日は3位浦和も敗れたものの磐田が勝って、サンフは5位まで落ちてしまいました。そしてそれ以上に首位との勝ち点差が11になったことで、残り11試合で追いつくのは非常に厳しい状況になってしまいました。森崎浩が怪我をしてしまい(9/12付けのスポニチによると右足首の骨折)、小村は次節出場停止。大木も李も茂原も駒野も疲労がたまり、100%のパフォーマンスを見せるのは難しい状態です。ただ、だからと言ってここで諦めてはいけない。成長を止めてはいけないのです。ここで味わった悔しさを忘れずに、戦い続けることなしにはサンフレッチェの未来は開けない。サンフレッチェが上を狙うチームなのかどうかは、ここから問われることになるのです。