東京V戦の感想
ヴェルディ戦ですが、引き分けに終わったものの得るところの多い試合だった、と思います。サンフレッチェのリーグ戦の好調を支えているのは12試合で8失点の強固な守備ですが、その中心がジニーニョ。彼が欠けたときにどうするかと言う重要なテーマに一つの回答を与えたのが、この試合でした。小村を中心に右に池田、左に吉田を配した3バックは、常に高いラインを意識しながらワシントン、平本のツートップに対して粘り強く対応していたと思います。1失点目はワンツーで綺麗に抜かれてのものでこれは言い訳のきかない守備のミスでしたが、それ以外のシーンはまずまずの出来。GKとのコンビネーションも良く、個人の力で戦いを挑んで来るヴェルディの攻撃陣に対してしっかりと戦っていました。
また、この3バックは駒野不在の状況に対する回答でもありました。川崎F戦では森脇を右SBに入れて形を崩さずに戦って敗れたわけですが、それよりは3バックにして右のMFに茂原を入れる、と言うこの日の形の方が、チーム全体のバランスが良かったと思います。この形は大宮戦の後半でもまずまずの結果を残していますが、それを再確認することができた、と言えるでしょう。
ただそうは言ってもヴェルディ戦は、「駒野」という存在の大きさを改めて確認した試合でもありました。攻めながらもなかなか得点を奪えなかったサンフは後半19分、駒野を投入して4バックにシフトチェンジしたわけですが、ここから試合全体がスピードアップ。サンフの攻撃に対抗してヴェルディもカウンターを仕掛けて来て、スリリングな展開となりました。そして、そこで飛び出した駒野のピンポイントクロス。ガウボンはただジャンプして合わせるだけでいい、と言うだけのボールで、改めて駒野のキックの質の高さを思い知らされました。
またこの試合は、ルーキー・桑田のデビュー戦でもありました。勝ち抜きの可能性が残っている限り勝ちに行く、と語っていた小野監督ですが、この試合のメンバーを見ればその意図が別のところにあったことは明白でしょう。これまで全試合に先発してきた大木とベットを外して桑田を入れたのは、単に彼が頑張っていたからというだけではなく、夏場の連戦に向けて最も重要なポジションのバックアップを作っておきたい、と言うことだと思います。桑田はボールに絡んだ回数は多くは無かったのですが、常にバランスに気をつけながらDFラインの前からゴール前まで良く動いていた、と思います。そして2、3度決定的なシーンにも絡んで、デビュー戦としてはまずまずだったのではないでしょうか。今後は局面によってはもっとアグレッシブに行くこと、そして長い時間戦える体力を付けることが課題でしょう。
全体としてこの試合は、引き気味の位置からカウンターを仕掛けてくるヴェルディに対して良い戦い方が出来ていた、と思います。中盤をコンパクトにして高い位置でプレッシャーをかけ、ボールを奪ったら速く攻めると言う自分たちのサッカーが表現できていたと思います。そして1点リードされて終盤になっても決して慌てず、バランスを崩さずに攻め切って一度は逆転したことは、このチームの成長を表していると思います。ただ、だからこそ最後の最後で同点に追いつかれてしまったのは痛かった。佐藤寿が足を攣って動けなくなっていたことや、ワシントンのシュートが守りようの無いものだったことなど、不運が重なった面はあったと思います。しかしそれでも勝ちきれる強さを身につけることが、今後優勝を争っていく上で一番大事なことなのかも知れません。
ところでこの日の引き分けでナビスコ杯は4試合を終えて勝ち点1。グループ1位の可能性は消滅し、2位抜けの可能性がわずかに残るだけとなりました。しかし可能性がある、とは言えそれは数字上のもので、実質的には敗退が決まった、と言って良いでしょう。となれば残り2試合は、リーグ戦に向けてのシミュレーションとチーム全体の底上げに使うべきだと思います。ジニーニョ、駒野と並んで代えのきかない選手である森崎和や服部、下田の不在にどう対処するのか。サテライトで結果を出している木村、高萩、ジョルジーニョらを起用するのかどうか。小野監督の采配に、注目したいと思います。
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