昨日のJユースカップ決勝は90分を終えて0-0。前後半10分ずつの延長でも決着がつかずPK戦に持ち込まれました。そして広島は前田が決めた後3人連続で止められたのに対して鹿島の3人に決められ、残念ながら準優勝に終りました。
サンフレッチェユースの先発は決勝トーナメントに入ってから不動のメンバーで、次のような感じでした。
佐藤昭
森脇 藤井 槇野 大屋
高柳 柏木
桑田
木原 平繁(→佐藤将)
(→田中祐)
前田
SUB:栗崎、中山、遊佐、冨成、横竹
いつものようにやや抑えめの立ち上がりだったサンフに対して、鹿島は一気に攻勢を仕掛けてきます。しかしそれが続いたのはわずかに5分間程度。その後はリスクを冒さず、低い位置にしっかりとブロックを形成してサンフの攻撃を寸断します。特にエース前田に対しては、広島ボールになった瞬間に身体を密着させて自由を奪い、ボールを持たれたら2人、3人と寄ってたかって潰します。この日の主審は接触プレーに甘かったこともあり、また前田自身のキレもいまひとつ(足の痛みで試合前には入念なマッサージをしていたらしい)でなかなかチャンスを作れません。また木原と平繁にもサイドバックが下がって対応し、更に中盤の3人にも激しいアタックを仕掛けてきます。広島の良さを消す戦術を徹底してきた鹿島に対して、サンフはまず24分、高柳から桑田を経由して平繁へ。GKの頭越しに狙ったシュートは、しかしバーに弾かれてしまいます。また28分には前田のスルーパスで柏木が飛び出し、33分には高柳の強烈なFKが飛びましたがDFに当たって枠外。CKの折り返しのボールを受けた森脇が振り返りざまに狙ったシュートも枠を外れます。更に42分には左サイドからの大屋のFKのボールが相手の頭をかすめてGKの脇を抜けましたが、DFがゴールライン上でクリアします。逆に鹿島は10番山本を中心に何度かチャンスを作りましたが、藤井と槇野を中心とした守備陣がゴール前に鍵をかけます。広島が押し気味ながら鹿島も堅い守備から効果的な攻撃を繰り出すという展開で、前半の45分はあっと言う間に過ぎました。
後半遅れてピッチに現れたサンフは、気合いを入れ直すと立ち上がりから攻勢を仕掛けます。4分にはセットプレーのこぼれを平繁がシュート。6分には高柳が左サイドから持ち込んでペナルティエリア中央付近まで突破しますがシュートまでは至らず。その後も木原が、前田が、森脇がドリブル突破を試みますがシュートまで行けません。9分には右サイドでボールを追ってジャンプした森脇の足元に14番が飛び込んで倒し森脇は右手首を痛めますが、主審はファウルも取ってくれません。逆に21分にはカウンターから鹿島に波状攻撃を受けましたが、速い帰陣と集中した守備で凌ぎます。また27分にも左サイドを破られ大道にシュートを許しましたが、これは佐藤昭ががっちりと抑えます。後半25分には木原に代えて田中祐を投入し、高柳をトップ下にポジションチェンジ。柏木が、前田がチャンスをつかんでシュートを打ちますが枠を捉える事ができません。また36分には高柳のループパスで柏木が飛び出し、更にこぼれを拾った前田のパスを桑田がシュートにまで持ち込もうとしますが空振り。後半ロスタイムには右サイドのタッチライン際からの大きなパスを受けた高柳がフリーで抜け出しかけましたがDFに詰められてチャンスを逸します。鹿島の堅い守備をどうしても崩せないまま今年初めて90分を0点に抑えられると言う展開で、10分ハーフの延長に突入しました。
控え選手もスタッフも含め全員で円陣を組んだサンフは、気合いを入れ直して延長へ。1分にはハーフラインでボールを受けた前田がドリブル突破しようとしたところで後ろから足を蹴られましたが(最低でもイエロー。レッドでも不思議じゃないプレー)、20メートルは後ろから見ていた主審には見えなかったらしくファウルを取ってもらえません。また3分には森脇のクロスに前田がジャンピングボレーで合わせましたが惜しくも枠外。8分にも桑田のパスを受けた田中祐がフリーでシュートを打ちましたが、これも枠外に外れます。どうしても勝ちたい。どうしても点を取りたい。広島の選手たちは痛いほど強い思いを持って戦いましたがその思いは最後まで叶うことなく、鹿島に110分間守り切られてPK戦への突入となりました。
狙い通りPK戦に持ち込んだ鹿島。思わぬ展開でPK戦になってしまった広島。その差が精神面に現れたのか、思いきって蹴った鹿島が3人目まで全員が決めたのに対して、慎重にコースを狙った広島は3人が止められ万事休す。赤いユニフォームが歓喜の輪を作る一方で広島の選手たちはピッチ上に突っ伏し、森脇が、桑田が、大屋が、高柳が悔し涙を流しました。
それにしても思うのは、優勝することの難しさと、それ以上の「勝ち続けること」の難しさです。戦いながらチーム作りを進めていったクラブユース選手権と、高柳不在のまま勝ち進んだ高円宮杯。そして前田をトップチームに抜かれた状態で戦ったJユースカップの予選リーグ。これらと比較してフルメンバーでずっと戦うことのできる決勝トーナメントは、これまで以上に強いユースを見る事ができるはずでした。しかしその前に立ちはだかったのは、「最強チーム」をどう倒すか、そこに目標を絞って来たチームでした。トリプルボランチでバイタルエリアを固めてきた清水。オールコートプレスで挑んで来た市原。ラインを低く設定してロングボールを放り込んで来た東京V。そしてマンマークで潰しに来た鹿島。どのチームも「広島を倒すにはどうすれば良いか」を良く研究して、広島を倒そう、足元を掬ってやろう、と狙って来ていました。それに対して森山監督と選手たちは、相手に合わせるのでなく自分たちの形を崩さない「横綱相撲」で受けて立ちました。そして清水を一蹴し、市原を倒し、東京Vを下して決勝までたどり着いたわけです。優勝するんだ、史上初の三冠を達成して歴史に名を残すんだ、と言う意思を最後まで貫こうとしたのです。残念ながら最後の最後で優勝を逃したわけですが、しかしそれでそれまでの戦いの輝きが色褪せることはない。全チームの目標とされながらここまで勝ち進んで来たこと、決勝でも負けたわけではない(PK戦は記録上は引き分けになる)ことは、誇りに思って良いことだと思うのです。またこの大会で3年連続で決勝進出したこと(史上初)や、2年間で4回の優勝を飾ったこと(これもたぶん、過去には無かったはず)などは、胸を張って良いことだと思います。
ただPK戦でそうは言っても負けたこと、優勝カップを掲げることができなかったのは動かせない事実です。残ったのは悔しい現実だけなのです。負けは負けとして、ここをまた新たな出発点にしなければならないのです。森山監督が言うように、「そこから何を知るか。何を感じることができるか。そこが大切」なのだと思います。プロ入りする前田、高柳、佐藤昭、森脇、桑田、そして藤井。大学に進学する(はずの)冨成、田中祐、大屋、栗崎、佐藤将。来季のチームの柱となる槇野、木原、柏木。更にその後輩たち。彼ら選手一人一人には、ぜひこの悔しさを胸にしまって来季以降の戦いにつなげて欲しい。特に昇格する選手には、ぜひトップで優勝を実現させて欲しいもの。そしてユースには、また来季の三冠に向けて前進し続けて欲しい、と思います。