昨日ビッグアーチで行われた2nd stage第9節G大阪戦は、前半に2点を奪ったものの追いつかれ、2試合連続の引き分けに終りました。
森崎浩が4試合ぶりに先発に復帰した一方で代表帰りの李がベンチスタートとなって、サンフの先発は次のような感じでした。
下田
リカルド 小村 吉田
駒野 森崎和 ベット 服部
(→吉弘65分)
大木 森崎浩
(→李65分)
盛田(→茂木72分)
SUB:林、木村
対するガンバは、GK:松代、DF:山口、シジクレイ、實好、MF:森岡(→宮本75分)、橋本、遠藤、家長(→吉原41分)、二川、FW:大黒、フェルナンジーニョ(→中山77分)。立ち上がりは両チームとも前線からの速いプレッシャーで相手を自由にさせず、中盤でのせめぎ合いが続きます。10分過ぎからはG大阪は二川と大黒のホットラインからサンフレッチェゴールに迫ります。しかし、先制したのは広島。前半15分、左からのCKをベットがショートで蹴り服部へ。鋭いクロスに小村が頭で合わせたボールは、バーに当たってゴール内に落ちました。
その後はコレクティブなサッカーを展開するサンフと個人能力で打開しようとするガンバのせめぎ合い。ガンバは18分に森岡、24分には大黒、30分には實好が危険なシュートを放ちましたが、最後にDFが身体を寄せてしっかりと守ります。逆にサンフは盛田のポストプレーと大木、ベットの鋭い動きでボールをつなぎ、相手ゴールに迫ります。そして34分、ベットのパスを受けた大木が絶妙なスルーパス。ここに斜めに走り込んだ森崎浩が「トラップした時にニアポストの上しかない、と思って、思い切り蹴りました」(森崎浩)と言うイメージ通りのボールをゴールネットに突き刺しました。
これで完全にペースを握ったサンフは、チャンスを量産します。35分には服部が同じように抜け出してシュートを放ったもののボールはバーの上。45分にはベットのCKを大木が押し込みましたがハンドを取られます。更にロスタイムには右からの駒野のクロスを大木がフリーでシュートしましたが「あまりにフリーになりすぎて、力んでしまった」(大木)ため当たり損ない、ゴールにはならず。3点目が取れそうで取れなかった事が、後で響く事になってしまいました。
ハーフタームで修正したガンバは、家長がいた左サイドに二川を回しましす。そしてこれが大当たりで、二川は調子が今一つだった駒野の裏を突いて、何度もチャンスを作ります。そして後半6分、広島の右サイドを突破した二川がGKの頭の上を越すクロス。ファーサイドに走り込んだ吉原が右足で引っかけるようにしてボレーシュートを叩き込み、1点差に迫られてしまいました。更にその6分後には再び吉原。DFラインからのロングフィードに合わせて抜け出し、右足を一杯に伸ばして浮き球を叩き込んで、あっという間に同点に追いつかれてしまいました。
その後サイドからの攻撃で何度もチャンスを作るガンバ。サンフはベットを中心に何度か逆襲しますが、ガンバの勢いを止める事が出来ません。そこで小野監督は李と吉弘を投入して守備を安定させ、そこから立て直そうとします。そしてその直後には李が左サイドでボールを拾って大きなクロスを上げ吉弘が左足でシュートしましたが、しかし松代がぎりぎりでセーブします。両チームとも疲れが出てくる中でペースを握っていたのはガンバで、特に40分前後には波状攻撃を受けて自陣に張り付けられます。しかしサンフも守備の集中が途切れる事なく頑張り抜き、マイボールになった時には果敢に押し上げて相手ゴール前まで迫ります。ロスタイムには茂木の突破等から総攻撃をかけてゴールを狙いましたが及ばず。結局両チーム「痛み分け」で、勝ち点1ずつを分け合う事になりました。
試合終了後に小野監督は「勝点3をとれた試合だったし、ゲームを制する時間も長かっただけに、悔しい」ガンバの吉原は「今日の結果は負けに等しい引き分け」と双方とも試合後の表情には悔しさが滲んでいたそうです。特にサンフの選手はそれぞれに「勝てたゲームを引き分けた」と唇を噛んでいたそうです。確かに前半は完全な広島ペース。DFラインは大黒、フェルナンジーニョに自由を与えず、パスの出所の二川と遠藤を封じ、更に両サイドの攻撃参加を許さず、中盤でのパスカットから何度も良い形を作っていました。ゴールシーンは素晴らしいものでしたが、それ以外にも2度、3度と決定機があり、今季最高とも言える前半の出来だったと思います。しかし後半は一転してガンバペース。さすがに優勝を争うだけあって、チーム全体から立ち上るオーラに圧倒されてしまいました。失点シーンはいずれも吉原のこれしかない、と言う素晴らしいボレーシュートを決められたものでしたが、それ以外にも何度も決定的なシーンを作られています。2点リードしたチームが追いつかれると、その勢いに飲み込まれて逆転されてしまう、と言う事は良くある事。ましてや相手は年間順位4位・ステージ順位2位のガンバだった訳です。勝てるゲームに引き分けたと言うのは確かですし残念なのですが、しかし良く耐えて勝ち点1を確保した、と言うのが客観的な評価と言えるのではないでしょうか。
これまで2nd stageを9試合戦って、サンフは紆余曲折を経てきました。その中には主力の相次ぐ離脱からチームの形が崩れて行って、バラバラになりかかった時もありました。しかし東京V戦から鹿島戦、G大阪戦とようやく自分たちのサッカーが出来るようになってきたのは確かです。DFラインをお仕上げ中盤をコンパクトにし、高い位置でボールを奪って素早く相手ゴール前にボールを運ぶ。ペナルティエリアにボールを入れる時には3人、4人が飛び込んで行って、チャンスをモノにする。逆に相手の時間帯になった時にはチーム全体がしっかりと守備ブロックを形成して、集中を切らさないようにして守りきる。このような小野サッカーのコンセプトが、浸透してきているのは間違いないと思います。ただ上位に進出して行くためには、優勝に絡んで行くためにはもう一つ足りないものがあるのは確かでしょう。前節の鹿島戦やこのG大阪戦のような競ったゲームで勝ち点3を取れるようにならなければいけない、と思います。小村選手が語っているように「課題は精神面です。このチームが上にいくためには、こういうゲームを勝っていかないといけない」のです。
昨日の第9節を終えた時点で、首位浦和との勝ち点差は12。ここから追いつくのは不可能ではありませんが、これから優勝争いに顔を出して行くのは少々難しくなりました。逆に最下位のC大阪との勝ち点差は8に広がって、降格の心配の方もかなり少なくなったと言って良さそうです。しかし、だからと言って気を抜くのは許されない。ここまで続けてきた成長の歩みを、止める訳にはいかないのです。今週は高円宮杯を終えたユース組もトップに合流するでしょうし、チアゴが練習に復帰してくる可能性も高いとのこと。ようやくチームの戦力が整って、本来やりたかった戦いが出来るはずです。中国新聞の記事にもあったように、「このチームに消化試合などない」のです。リーグ戦の残り6試合と天皇杯を、全力で戦い抜いて欲しいと思います。