ナビスコ杯第2節横浜FM戦
日曜日からのリーグ戦3試合を見越して、小野監督は新人3人と特別指定選手の西河を起用するなど実験的な布陣で戦いました。
林 井川 吉弘 西河(退場55分) 青山 外池 李 服部 (→駒野45分) (→吉田76分) 高木 田村 松浦 (→中山69分) SUB:佐藤昭、田中対する横浜も控えや怪我上がりの選手が中心で、GK:榎本哲、DF:栗原、松田、河合、MF:佐藤由、金子(→遠藤45分)、上野、ドゥトラ、大橋(→坂田75分)、FW:清水、阿部(→山崎45分)。技術と経験に勝る横浜は前半からボールを支配しますが、サンフのDFラインは吉弘を中心にしっかりと勇気を持って押し上げて、コンパクトなブロックを作って相手にプレッシャーをかけます。2分には早くも右からのクロスを受けた田村が反転してシュート。その後も服部のドリブル突破や田村、松浦のチャレンジ等でチャンスを作ります。横浜はドゥトラや上野がドリブルからチャンスを作りますが、林が落ち着いて対処。お互いにミスが目立つものの、なかなか緊張感のある戦いとなります。そして前半31分、高い位置でのパスカットから松浦がキープして前線に進出してきた李へ。李はボールをキープして様子をうかがうと前線に鋭いパスを通します。ここに走り込んでいた青山が冷静にGKの位置を確認してシュート。それまでどちらかと言えば消えていた青山でしたが、彼の素晴らしい決断力とシュートが生んだゴールでした。
しかし、そのまま黙っている横浜ではありませんでした。33分、相手右サイドでボールを奪った佐藤が前線に長いボールを出します。ここに走り込んだ大橋に付いて行った高木が、いったんは身体を入れてブロックしたかに見えました。しかし思い切ってオーバーヘッドでクリアしようとして空振り。大橋は悠々と突破して落ち着いてクロスを入れます。このボールを中央で受けた阿部に戻ってきた吉弘が激しく迫りましたが及ばず、同点に追いつかれてしまいました。
その後はほぼイーブンの展開。パスをつないで好機をうかがう横浜に対して、サンフはタッチ数の少ないパス交換から素早く相手ゴールに向かう、と言う攻撃を徹底します。暑さのためか最後はお互いに運動量が落ちて、同点のままで前半を折り返しました。
後半に入り、怪我のため戦列を離れていた駒野が8か月ぶりに公式戦のピッチに立ちます。対する横浜も怪我のため1ヶ月ほどお休みしていた遠藤を投入して、中盤を活性化させます。後半立ち上がりは横浜ペース。1分、2分、6分と立て続けにチャンスを作られます。サンフは高い位置でボールを奪って逆襲を意図して仕掛けますが、ある意味それが逆の目に出たのが後半10分のシーンでした。右サイドで李がボールを奪って攻め上がろうとしましたが、マイナスのボールを受けた井川のパスが、相手に当たって山崎への絶妙のパスになってしまいます。ドリブルで突破する山崎に吉弘が追いすがって、ファウルで止めます。このイエローカードは仕方がない、と誰もが思ったシーンでしたが、しかし穴沢主審がカードを出したのはこぼれ球を大きくクリアした西河に対してでした。「え、俺じゃないよ、吉弘だよ」と異議を唱える西河。主審はメモを見て2枚目であることを確認して西河にレッドを示すと、吉弘に対してもイエローを出します。西河に対するイエローは遅延行為だと言うことなのかもしれませんが、しかしビデオで見る限りでは笛が鳴ったのは西河がボールを蹴る直前のこと。人間は誰でもコンマ何秒かの反応時間が必要ですから、あれでイエローカードはあまりにも厳しすぎます。だいたいこの日の主審はホーム寄りの笛が目立ったのですが、このあまりに酷いミスジャッジでサンフレッチェはゲームプランを変えざるをえなくなりました。
1人少なくなったサンフは、駒野と服部をDFラインに下げて4-3-2に変更します。しっかり守ってカウンターという意図を明確にして、松浦のスピードと田村の頑張りで何とかチャンスを作ります。後半19分には田村のドリブルから服部に戻し、ダイレクトのクロスに李がファーで合わせて決定機を作りますが、しかしポストに当たったボールは無情にもゴールの外側に跳ねます。その後横浜は、足元のパスをつないでサイドチェンジして長いボールを入れてゴール前に迫る、と言う攻撃を徹底してきます。後半21分、佐藤のロングボールを大橋が落し、走り込んだ山崎に合ってしまいます。そして右足から放たれたシュートは、林が伸ばした手の先をかすめてゴールへ。決壊寸前で頑張っていた若いサンフの守備陣が、ついに破られてしまいました。
リードを奪って余裕が出た横浜は、ボールを動かしてサンフの選手を走らせて消耗を待ちます。小野監督は中山を投入して前線を活性化しようとし、また吉田を入れて服部を攻撃に参加させようとします。が、前半から全力で走り回っていた選手たちの疲労は激しく、人数的な不利をはね返すことができません。こちらの攻撃はことごとく松田に止められ、なかなか有効な攻撃はできず。逆に何度も決定的なピンチを迎えて、その度に林の好セーブで凌ぎます。サンフの守備陣は最後まで集中を切らさずに戦ったもののそれ以上の失点を防ぐのが精一杯。最後はふらふらになりながらも何とか1点差で試合終了のホイッスルを聞く事になりました。
この日のサンフレッチェの先発の平均年齢は21.3歳。今季初出場の選手が5人もいると言う「実験的」なメンバーでした。特に守備は18歳の吉弘を中心に21歳の井川と20歳?の西河がラインを作り、その後ろを21歳の林が守ると言う布陣でした。相手の横浜も若いメンバーを多く起用していましたが、それでも半分は26歳以上(平均24.5歳)。従ってメンバー的には最初から一方的にやられる、と言う可能性もあったと思います。実際、この試合は細かいミスが多く、レギュラー陣に比べるとやはり不安定さは否めませんでした。しかし小野監督の「ミスをおそれずにいけ。思いきりやれば、ミスが起こるかもしれないが、それはいい。とにかく大胆に行こう」と言う言葉の通りに、チャレンジをし続けることはできたと思います。それが先制点に繋がったし、1人少ない中で負けたとは言え1点差のゲームが出来た要因だったと思います。成長していることを見せた林と李。勇気を持ってDFラインを上げて戦った吉弘と1対1で負けなかった西河。自信たっぷりのプレーで存在感を見せた田村。さすがの格の違いを見せた服部。自分ができることを全力でやりきった松浦。初出場でゴールを決めるという快挙を成し遂げた青山。久々に出場した駒野は守備的になったためあまり上がることはできませんでしたが、しかし45分間普通にプレーできることを示しました。今年8試合目の公式戦でまたもや勝てなかった、と言う事実は残ったものの、今後のサンフレッチェを語る上では非常に重要な一戦だった、と言って良いのではないでしょうか。
そしてこのゲームの価値を本当に上げるのも下げるのも、日曜日からの3試合次第だと思います。ここで出るであろうレギュラー組が、昨日の若手組ほどの闘志と集中力を持って戦えば、勝ちという結果を得るのはそう難しいことではないでしょう。そしてそれこそが、今のサンフに最も必要とされていることなのではないでしょうか。
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