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2004.09.17

清水戦を見て

 前半途中から数的優位になったにも関わらず、0-3で完敗を喫した清水戦。私は出張に出ていたためずっと見る事ができなかったのですが、昨日ようやくビデオで見る事ができました。確かに今のサンフレッチェが抱える問題点がいろいろと噴出したゲームだった、と思います。しかしそれは決して驚きではなく、むしろこれまであまり明確になっていなかった課題が明らかになっただけなのではないか、と思いました。

 この試合の前半の前半は、やりたいサッカーが80%程度までは表現できていたと思います。素早い出足から相手に高い位置からプレッシャーをかけ、奪ったら素早くパスをつないでシュートにまで持ち込む。攻守の切り替えを速くしてチャンスの時にはゴール前に人数をかけて行き、相手ボールになったら早い段階で潰していく。ペナルティエリア付近でのアイディアと精度がいまひとつのためゴールには結びつきませんでしたが、そこまでのサッカーは十分に質の高いものだった、と思います。

 しかし、徐々に押し返されて来たのは戸田が退場する少し前の時間帯からでした。清水が3バックの両脇のスペースを突くボールを出してきて、それに対するアプローチが(疲れのためか)ほんのわずかに遅れ出したのです。そしてその流れが決定的になったのは、戸田の退場からでした。1人少なくなってもう行くしかない、と言う精神状態になった清水に対して、サンフは受け身になってしまったように思います。そう言う状況は、サッカーではよくあること。それを受け流して自分たちのペースになるまで耐える事ができず、結局流れを失ったまま1点を取られてしまったのが、直接の敗因だったと言えるでしょう。

 では、なぜ流れを止める事ができなかったのか。その一つの原因として、やはり采配ミスを指摘せざるをえないでしょう。前半の後半の時間帯、確かに右サイドを何度かやられていました。そしてその中で高萩のミスが目立っていたのも確かです。しかし、前半終了間際に敢えて高萩を交代させる必要があったのか。チーム全体はさほど慌てていなかったのに、小野監督自身が少々焦りすぎていたような気がしてなりません。

 更に後半、小野監督はリカルドを右SBにする4バックにシフトチェンジして、それが機能しないと見るや西河とリカルドのポジションを入れ替えています。また吉田を下げて李を入れていますが、しかしこれらの采配はことごとく失敗に終わっています。戦術的な交代によって流れを変える事ができなかったのは事実で、監督がその責任を逃れることはできないように思います。

 ただ、だからと言って監督のせいで負けた、とは言えないと思うのです。序盤は良い立ち上がりを見せながら、途中で流れを失ってズルズルと行ってしまう、と言うのは2nd stageのゲームでは共通で見られる傾向です。C大阪戦や柏戦では途中から盛り返して逆転や同点に追いつきましたが、それはどちらも小野監督の采配が的中したからと言ってよいでしょう。特に早めに動いたC大阪戦では逆転まで持って行ったのに対して、交代を我慢した柏戦では同点に追いつくのがやっとだったことを考えると、早めに動いた小野監督の決断は十分に理解できます。我々のような第三者は結果を見て采配についてあれこれ言うことが出来ますが、現場でゲームの流れを見ながら一瞬で判断しなければならない監督にミスを冒すな、と言ってもそれは無理というものです。

 また、選手の問題も見過ごすことはできません。なぜなら流れを失ったときに、それを取り戻すのは本来は選手自身であるべきだからです。ほとんど同じ力をもつプロ同士が対戦するリーグ戦で、どちらかが一方的に90分を支配する、と言うことはめったにないことです。たいていの場合はある時間帯はこちらのチーム、またある時間帯はあちらのチームというように、流れが行ったり来たりするものです。強いチームというのはそう言う流れを読む事ができて、悪い流れを我慢してペースをつかんだら一気に攻め込んで点を取る、と言うチームなのです。

 サンフレッチェの場合、それが出来ないというのはずっと前からの課題だと言って良いでしょう。ヴァレリー時代は終盤に耐えきれずに失点してしまうことが多く、2002年は1年を通して流れをつかむ事ができずに降格。昨年は良い時は勝ち続けるが勝てなくなると止まらない、と言う戦いに終始しました。このようなことがなぜ起きるか、原因はいろいろあると思います。しかし最も大きいのは何かというと、やはりメンタル面だと思います。どんなに苦しくても最後には勝つ、と信じて戦って、本当に勝ってしまうという「勝者のメンタリティ」。それがチームの伝統として無いからこそ、このような苦しみを繰り返さざるを得ないのだと思うのです。

 そしてもう一つ指摘したいのは、チーム全体としての層の薄さです。今年はユースを含めた若手が続々とトップデビューを果たしていますが、しかしその裏には経験のある選手だけではやっていけない、と言う現実があります。その上、せっかく戦力になった選手がすぐに年代別代表に引き抜かれて行ってしまう。強いチームというのはある程度メンバーが固定されていて、怪我や出場停止で選手が欠けたらすぐに他の選手がその穴を埋めるものですが、サンフレッチェはとてもそこまで行っていないどころか、駒野の穴を埋めるのに四苦八苦しているのが現状です。監督だって手駒が多ければ考える余地もあると言うものですが、ベンチには経験の少ない若手ばかりと言う中では「采配ミス」を云々する事すら意味がない、と言う気がします。

 そのような状況で迎えた清水戦。一見、一方的にやられたように見える試合に希望がないのかと言うと、そんなことはないと思います。例えば攻撃に関しては、ゴールが奪えず後半はほとんどチャンスも無かったにも関わらず、局面を見れば良い形は何度も作っていました。以前問題にされていた「ゴール前の人数が足りていない」という事は少なくなって、もう一歩のところまで来ているように感じました。また守備面では確かに何度か破綻していますが、これは主にリカルドの不調が響いていたと思います。もともと確実に繋いでいくのが持ち味のリカルドのパスミスの多さは、全く目を覆うばかり。彼を早い時間帯に交代させなかったのが一番の敗因だ、と言いたくなるような出来でした。これまで何度もサンフレッチェを救ってきたリカルドですが、彼に代わる選手を育てることをそろそろ本気で考えなければならない。それを確認したゲームだったとも言えると思います。

 総じて言えることは、この敗戦は不思議でも何でもない当然のものだった、と言うことです。しかし、それはこれまでの流れを全否定するものではない。それどころか、これまでのチーム作りの到達点を確認するとともに、弱点を明らかにするものだった、と思うのです。その弱点は、決して解決できないものではない、と思います。層の薄さ。勝者のメンタリティ。監督の采配。どれも一朝一夕に何とかなるものではないのですが、しかし我々には他チームも羨むような若手選手がいるし、指導者の人材もいるのです。苦しいときこそ、応援するのが本当のファンでありサポーターです。彼らならきっとこの敗戦から学んで、そしてこれをきっかけに成長してくれる、と私は信じます。

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