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2004.09.11

盛田に関する考察

 盛田、と言うとサッカーファンにとっては一種独特の響きのある名前だった、と思います。駒澤大時代から「将来の代表のエース」とまで言われた大器で、前年度の2nd stageに3位に迫った浦和にタイトルをもたらす選手として期待されての99年のプロ入りでした。しかし、結果は逆。開幕戦でいきなり先発し、その後19試合に出るなど主力として出場しながらノーゴール。浦和のJ2降格の「戦犯」とまで言われました。そして翌年はJ2でも4試合にしか出場できず、2001年にはC大阪に移籍したもののまたもやノーゴールに終わります。その後川崎F、大宮でプレーを続けて7ゴールを挙げていますが、いずれもJ2での実績です。そして大宮でも次第に出場機会を失って今季はわずかに3試合。誰もが「盛田は終わった」と思っていたのではないでしょうか?

 実際、サンフレッチェはこれまで何度か盛田と対戦していて私も何度か見ているはずなのですが、その間怖いと思った記憶はありません。高さがあり、足もとも上手い盛田でしたが、シュートが入らないと言うのはFWとしては致命的。観客も「どうせ盛田のシュートなら入らない」と余裕で見ていたような気がします。ゴール前にいてシュートを打ちまくるというのではなく、1列目〜2列目に位置してボールをつなぐ役割がメイン。そしてその高さも十分に生かしているとは言い難く、むしろハイボールが来ても競り負けることも多かったように思います。冒頭に書いた「特別な響き」とはポジティブなものではもちろんなく、高さはあるもののそのメリットを生かすことの出来ないFWの代表、と言うイメージでした。

 ところが、サンフレッチェの盛田は違います。練習では高さだけでなく足元の柔らかさや裏への抜け出しの速さをアピール。ナビスコ杯のC大阪戦、練習試合のG大阪戦と立て続けに美しいループシュートを決めています。また怪我から復帰して出場した柏戦では、後ろからのボールを確実に味方につなぐポストプレーヤーとして奮闘。1点リードされて迎えた後半終了間際には、ゴール前のこぼれ球に飛び込んで起死回生の同点ゴールを叩き込んでいます。今のサンフレッチェにおける盛田の存在は、単なるチアゴの代役と言う以上のものがある。高木琢也からアーノルド、そして久保竜彦につながる高さのあるセンターフォワードの系譜につながる選手である、と言ったら言いすぎでしょうか?

 では、なぜ盛田が今ここでこれだけの活躍ができるのか。それは一つには、チーム戦術が整理されていることが大きいように思います。今のサンフレッチェはボールをポゼッションし、中盤で速くボールを動かして相手の守備組織の穴を見つけてそこを突く、と言うサッカーを目指しています。従ってFWに求められる最も重要なことはボールを失わないこと。そして前からの効率的な追い込みをして、高い位置でのボールカットを助けることです。もちろん、最終的にはシュートを打ってゴールを決めなければならないのは当然なのですが、しかしそれ以上に相手のDFが密集している最前線で身体を張ることが求められているように思います。運動量が少なくてもだめだし、動きすぎてもだめ。しっかりとした戦術眼を持っていて、要所要所でチームに貢献できることが求められている。ボールを受けたら簡単に失わないように、少ないタッチで味方につなぐかキープするかを瞬時に判断する。DFを背負って無理にターンするよりも、味方に預けて動きなおしてマークをずらす。これらの仕事が、盛田の能力と性格にぴったりと合っているのでは無いでしょうか。

 そして何より重要だったのが、早いうちに結果が出たことでしょう。初めてサンフレッチェの一員として公式戦でプレーしたナビスコ杯のC大阪戦でゴールを決めたことで、大きな自信になったのは間違いないと思います。彼にとってのJ1での初ゴールが、これまでの悪いイメージを払拭してくれたのではないでしょうか。能力がありながらもなかなかそれをJ1の舞台で発揮できなかった好漢・盛田剛平。今後は相手チームに嫌がられ、怖がられる選手として知られるようになって欲しい、と思います。

 

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