2006/01/21

ニューオーリンズ・トライアル

ジョン・グリシャムの「陪審評決」を原作とする2003年の作品なのですが、いやー、久々に面白い映画を見た、と言う感想です。

ニューオーリンズの証券会社で起きた銃の乱射事件。ここで殺された犠牲者の未亡人が、犯行に使われた銃の製造物責任を問う民事訴訟を起こしたのですが、その裁判を巡って原告と被告だけでなく、陪審員の1人も加わった丁々発止の法廷外の戦いが勃発する、と言う話です。

原告側の弁護士にダスティン・ホフマン。被告側に立つ「陪審コンサルタント」役にはジーン・ハックマン。2人の名優の対決の話になるのか、と思えば話はどんどん展開していきます。そして、最後は意外な結末。実はある程度予想通りだったのですが、そこに落とし込むまでの目まぐるしい展開が素晴らしい。サスペンス仕立てで最後には「なるほど」と思わせる演出にはうなりました。そしてその2人の名優の間で活躍するのがジョン・キューザックとレイチェル・ワイズ。レイチェル・ワイズは「ハムナプトラ」で見たことがあったのですが、その時とは違って知的で意志の強い女性としての演技は素晴らしかったと思います。

ところでこの映画の背景には、アメリカの銃社会と陪審員制度と言う2つの深刻な問題が横たわっています。特に陪審員制度は私たちには馴染みのないものですが、「市民の義務」と言う建前の下でこのような現実が存在する、とは知りませんでした。もちろんこれは作り話で、実際にはそんなことは無いもかもしれません。でも「陪審コンサルタント」と言うのは本当に存在する職業だそうなので、多かれ少なかれこんな感じの陪審員への「工作」はあるのではないかと思います。日本でも同様の制度ができるそうですが、それが果たしてどのような展開になるのか。日本の「市民」の1人として、注視しておく必要がありそうです。

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2005/09/16

「ドラゴン桜」最終回

原作を遥かに越えて?今日はついに東大受験と合格発表の最終回でした。いや〜最後もしっかりと涙と感動の青春ドラマしてました。先日紹介した「AERA」の記事によると原作者の三田紀房さんは「甲子園出場を目指すマンガのノリで東大合格を目標にしたものを書きたい」と思ってこれを始めたそうですが、確かにそんな感じの最終回だった、と思います。もともと新しい内容のドラマだったので陳腐な終わり方はしないだろう、とは思っていましたが、その期待は裏切られなかった、と言って良いのでは。少なくともありきたりのハッピーエンドでもなく、教訓めいた話で決着するわけでもなく、もちろん暗く落ち込むような結末でもなく、後に「元気」が残る終わり方でした。拍手!!

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2005/09/11

東大脳の作り方

今週号のAERAにマンガ&ドラマでヒット中の「ドラゴン桜」を題材とした「東大脳の作り方」と言う記事が載っている、と言う吊り広告を見て、久々に買ってみました。

「ドラゴン桜」は週刊モーニング連載中の人気マンガで、この夏にはTBS系でドラマ化されています。私はモーニングの連載開始当初から愛読しているのですが、確かにこのマンガの内容にはなるほど、とうなずくことが多いのです。別に東大に入るばかりが人生の勝利じゃない、とは思うのですが、しかしそれなりにきちんと学力を付ければ普通の人でも入ることができるのは確か。そしてそれは京大も他の大学も同じでしょう。受験テクニック、と言うと矮小化されたイメージになってしまいますが、どんなやり方であれ頭の柔らかいうちに知識を吸収し考える力を鍛えるのは良いことです。何かのきっかけで目標を持ち、それを実現しようと最大限の精力を傾けることは、高校生の時には特に重要なことだと思います。

今の高校生は、「ゆとり教育」が始まった以降に育った子どもたちです。だからおそらく小中学校の時には勉強が楽しくできたのに、高校に入ったら急激に難しくなって付いて行けなくなった、と言う生徒も多いのではないでしょうか。そんな中で高い目標を持つのを躊躇して、あきらめてしまった子も多いはず。そんな人たちにこの「ドラゴン桜」は大きな勇気づけになるのではないでしょうか。

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2005/07/09

スターウォーズ・エピソード3 シスの復讐

「スターウォーズ」新三部作のpart 3、と言うより全6作の最後を飾るエピソード3はいよいよ今日から公開。と言うことで、早速家族3人で見に行ってきました。


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****以下ネタバレもありますので見てない方はご注意****
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毎回何らかの「驚きの展開」があったこのシリーズですが、今回に限ってはあんまり無理はしなかった、と言う感じ。むしろこれまでに張っていた伏線をほぼ解決し、次のエピソード4にうまく繋がるようにした、と言う内容でした。たぶんちゃんと解決していなかった「問題点」は、アナキンの父親が誰かということと、C3POの片足が色違いなのはなぜか、と言うことぐらい?(正直言ってそんなに詳しくありません。^_^;)アナキンが半分機械になってしまった理由、ルークとレイアが生まれ、バラバラに育てられることになった経緯、あれだけいたジェダイがヨーダとオビ=ワンだけになってしまったわけ、等さまざまな問題点が自然に解決されていました。だからまずはルーカスのストーリー作りの巧さを賛えたいと思います。

しかしこの作品のこのシリーズ中での価値はそれだけではない、と思います。最も重要なのはダース・シディアスに向かってヨーダが言った「ダークサイドの力を過信するでない」と言う言葉ではないか、と思うのです。これまでのスターウォーズの流れでは、ダークサイドの力とは万能の力、と言う意味を持っていました。怒りや怖れ、悲しみなどの感情を敢えて放出することにより、ジェダイの力を越える強い力をもたらすのがダークサイドのパワーだ、と描かれていました。が、実際にはそうではなかったわけです。ダース・シディアスは一度はメイス・ウィンドゥに打ちのめされたし、力が勝っていたはずのアナキンも、オビ=ワンに倒されてしまっています。それどころかシスに身を委ねることにより「死を克服する」はずだったアナキンは、愛する妻を救うこともできず逆に死に追いやってしまいました。

つまりルーカスは結局のところ、心の暗黒面に陥ることの愚かさを言いたかったのではないか、と思うのです。人間なら誰でも持っている暗黒面に落ちる事は、結局不幸しかもたらさないと言うことを言いたかったのではないでしょうか。それと同時に、その暗黒面に気づいて十分に注意していたはずのジェダイが敗れることもある、と言うことも。こう言う娯楽作品にはそう言う教訓めいた結論付けはふさわしくない、とは思うのですが、6作30年近くをかけた作品で、ルーカスが言いたかったのはそう言うことなのかな、と思います。

因みに映画のパンフレットによると、ルーカスはこの計6部作を「アナキンの贖罪の物語」だ、と言っています。そう言う目で全体を思い返してみると確かにその通りなんですが、しかし本当に30年前からルーカスはそう考えてスターウォーズを作っていたのでしょうか?こりゃさすがに後付けの理由なんじゃないか、と思わないでもないのですが...

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2005/04/30

シルミド

これまで私は「シュリ」「JSA」と南北対立を背景とした韓国映画を見て来ましたが、その中ではこの「シルミド」が文句なしのNo. 1。映画的な派手さと甘ったるさを強調しすぎた感のあった「シュリ」に比較すると「JSA」は面白いなー、と思っていたのですが、それを遥かに越える強い印象を受けました。

その理由はもちろん、このストーリーが実話、特に長年韓国政府が秘匿してきた事実を元にしているからでしょう。死刑囚を集めて訓練して非合法の部隊を作る、というのはまるで「ワイルド7」みたいですが、それを国家的に行っていたこと、邪魔になって抹殺しようとしたことなど、まさかそんなことを本当にやっていただなんて。国家のやることは、特に軍隊が絡むことは人間性を無視したことになりがちなのはどこでも大差無いと思うのですが、それをこのような形で公開した韓国の映画界は、なかなか凄いと思います。

また、そのストーリーも人間ドラマとしても秀逸。シルミドにスカウトされた囚人たちにもそれぞれ理由があってそのような人生を送ってしまったこと。だからこそここで与えられた「任務」に自分を賭けざるをえなかったこと。それが国際政治に翻弄されて行き場が無くなり、やりどころのない思いの表現のために大統領官邸を目指さざるを得なかったこと。最後に一人一人がバスの中に血文字で自分の名前を書くところは、自分たちを翻弄し、押しつぶしてきた社会と国家に対して、彼らが本当に求めていたものは何かと言うことを明確に示したシーンだったと思います。

冷戦の時代とはうって変わって、今や多くの日本人が観光に訪れる「普通の」国となった韓国。シルミド(実尾島)の周辺は仁川国際空港として開発され、ソウルはアジア的な活気に満ち満ちていますが、しかしいまだに数十km北には38度線があり、国は真っ二つに分断されたままです。「冬のソナタ」等の韓国ドラマにはまるのも良いのですが、「隣人」を理解するためには時にはこう言う映画も見るべきなのかも知れません。

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2005/04/29

戦火の勇気

デンゼル・ワシントン主演の96年の作品で、「ラスト・サムライ」の監督の作品だそうです。

湾岸戦争で味方を撃ってしまって罪の意識に苛まれる中佐が、戦死した女性大尉の真相を調べるうちに、戦争の悲惨さ、異常さを明らかにしていく、と言う内容。アメリカ政府や軍のおかしさをチクリとやりながら、中佐が自分を見いだしていくと言うストーリーになっています。

まあ、映画としては悪くないとは思います。デンゼル・ワシントンは落ち着いた演技だし、脇役もいい味を出しています。戦争をするということは家族を犠牲にすることだよ、と言うメッセージも分かります。でも根本的に欠落しているのは、「敵」の方にも同じように人生があって、家族があると言う視点なんですよね。せっかく戦争自体の悲惨さ、無意味さに気づきかけているのに、敵は敵、味方は味方。イラク人?には顔も名前もなくて、ひたすら銃を撃ってくる存在でしかない。なんかアメリカ政府の考え方が透けて見えるようで、ある意味不気味な後味の作品でした。

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2005/02/15

東京原発

 広瀬隆さんの著書に「東京に原発を!」と言うのがあります。原発が安全だ、安全だというのなら東京に作ればいいじゃないか。そうすれば産地と消費地が直結して、送電コストも安くなる。温排水も利用できて一石二鳥だよ、と言う内容だそうです。(実は読んだことが無い ^_^;)

 その内容をそのまま映画にしたのが、山川元監督による2002年のこの作品です。役所広司扮するカリスマ都知事が、突然「東京に原発を誘致する」と爆弾発言。呆然とする都庁幹部が慌てて止めようとする一方で、都内を走っていたプルトニウム燃料が「核ジャック」されて...と言うお話です。

 映画の全体の流れとしては、説教調のところあり、ありえそうにないドタバタあり、と言う感じで現実味は薄いのですが、それを補って余りあるのは実際に国内で50基以上の原発が稼働している、と言う現実です。今の原発が決して安全でも経済的でもなく、原発を推進する国策に支えられていると言うことは一応は知っていたのですが、それにしてもここまで危うい橋を渡っているとは知りませんでした。

 まあ、そう言う理屈抜きでも、この映画は面白い、と思います。私は妻と高一の息子と一緒に見たのですが、異口同音に「面白かった」と言う感想でした。出てくるシーンと言えば、東京都庁とその会議室、それから都内を走る大型トラックだけ。安く作ったと言うことがまる分かりの映画ですが、テーマの重さ×展開の面白さで言えば「踊る大捜査線2」より上かも。興行成績はいまいちだったようですが、そのおかげでDVDもわりと楽に借りれるはずなので、未見の方はぜひご覧のほどを。

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2005/01/28

アピオスって、なんだ?

 我が家で今一番人気のCMは、フジゼロックスの「アピオス」のもの。2人の話をそばで聞いていた1人が「アピオスって、走りますよね」と口を挟むと、後の2人が「走らんよね〜」とかなんとか、いかにもバカにしたような感じで顔を見合わせる、というものです。

 こう言うのって、普段の生活で結構よくあるんですよね。知ったかぶりして口を出したら、それがトンチンカンだった場合。アピオスの2人のようにあからさまにバカにされることは、めったに無いことかも知れないけど、でも誰にでもある経験なのかも知れません。

 そう言う私も、アピオスって言われても分からない。で、早速ゼロックスのホームページに行って調べてみました。それによると...

>社会環境によって刻々と変化するお客さまの経営課題に対し、柔軟に、お客さまのオフィス環境にあわせたソリューションを提供する「バーチャルな場(環境)」

??? よく分かりませんでした。(^_^;)

 知ったかぶりをするよりも良いことは、「分からない」と正直に言うこと。件の仲間外れ氏にも、ぜひ「アピオスって、何ですか?」と聞いて欲しいもんです。でも案外、例の2人も良く分かってなかったりして。となると、このCMの新しいバージョンはこれでどうでしょう?

「アピオスって、何ですか?」
「アピオスが何かだなんて、言えないよね〜〜」
「説明なんて、できませんよね〜〜」
「できるわけ、ないよね〜〜」

なーんてね。(^_^;;;)

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2004/08/31

ウォーターボーイズ2 第9話

 柳の下に三匹目のドジョウがいるか、と言うのは結構深刻な問題で、その出来不出来によってシリーズ全体の評価も決めてしまうと言ってもいいぐらいなのではないでしょうか。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「スターウォーズ」は三作目への展望を持ちながら二作目を作った(「ロード・オブ・ザ・リング」なんて最初から三部作だった)から外さなかったし、日本作品では大林宣彦監督の「尾道三部作」や山田洋次監督の「家族三部作」なんかは、それぞれ独立した作品だったから良かったのだと思います。逆に、例えば「ターミネーター」。せっかく二作目で最初の作品を越えるのが出たのに、三作目で台無しにしてしまいました。同じような例は「TAXI」とか「マトリックス」とか「ジュラシックパーク」とか、色々あるのではないかと思います。要は二作目までに確立した世界観をどのように継承し、どのように打ち壊すか。そのへんのさじ加減が難しいのではないでしょうか。

#因みに「ロッキー」とか「エイリアン」とか「13日の金曜日」とか「男はつらいよ」とか、延々と続くシリーズものはまた別だと思います。

 と言うことで今回のウォーターボーイズは、最初は舞台だけ変えてストーリーは同じですよ、と言う雰囲気がかなり全面的に出ていました。主題歌が同じなら挿入歌も同じ。主人公はまるで前作のタテノリ君そのものだし、困難に打ち勝ちながらシンクロチームを作っていく、と言うプロセスも同じ。ここぞと言うところでパンツが脱げると言うパターンまで同じで、こりゃ完全に三匹目のドジョウ狙いか、と思いました。

 ところが、です。ここ数回の展開は、ずいぶん雰囲気が変わってきたように思います。ボーイズの中心の5人が順番に悩んで脱落してまた戻ってくる、と言う前回同様のパターンになるのかと思えばさにあらずで、彼らはいろいろ問題を抱えつつも常に団結して困難に対処します。今回むしろ悩んでいるのは周りの女の子や大人たちで、彼ら(彼女ら)がボーイズに勇気づけられる、と言うパターンが多いのです。つまり、一言で言えば今回のウォーターボーイズは前回の発展形。彼ら自身の悩みは一応棚上げして(つまり自分たちで解決してもらうことにして?)、その周辺の「社会」を描こうとしているのかも知れません。

 と言うことで、第一回に20%オーバーの数字を叩き出しながら一時は10%程度まで「沈没」した視聴率も、このところ徐々に回復傾向にあるとのこと。ウォーターボーイズは三匹目のドジョウを、ようやくつかみかけているのかも知れません。

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2004/08/23

この世の外へ/クラブ進駐軍

終戦直後の日本で、進駐軍相手に演奏するジャズメンとアメリカ兵の物語。コテコテの大阪出身、坂本順治監督が「9.11同時多発テロ」に刺激されて製作し、スタッフは「武器を楽器にかえて」と書かれたTシャツを着て撮影したのだそうですが、そう言うエピソードから感じられる「政治色」は全くない映画です。

登場人物は皆、時代の波に洗われながら必死で自分の人生を生きている。フィリピンで終戦を迎えた者。家族が被曝した者。弟と生き別れになった者。弟を殺された者。戦争はそれぞれの人生にそれぞれの傷を残し、それが故に対立し、別々の道を歩むことになります。しかしそんな彼らの心を通じさせ、再び結びつけたのが楽器であり、音楽でした。そしてそれを再び引き裂いたのが、別の戦争。監督のメッセージは、しっかりと伝わってきていました。昨年公開の作品で、この6月にはもうDVDが出たと言うことは商業的にはあまり成功しなかったのかもしれませんが、良い作品だと思います。お勧めです。

ところで重要な脇役としてオダギリ・ジョーが出演します。「新選組!」ではクールで無口な斎藤一を演じていますが、この作品では元気で明るくて、しかし心の中に闇を抱えているドラマー役を好演しています。果たして彼の「地」はどっちなんでしょう?

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