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2020/07/24

みやすのんきに学ぶ

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私は48歳だった2009年からほぼ毎日走るようになり、2010年6月の「さくらんぼマラソン」でレース初参加。その後フルマラソンに軸足を移し、2013年のつくばマラソンでは3時間50分28秒(ネット)のベストタイムを出したのですが、その後は記録が伸び悩み2019年の東京マラソンでは4時間50分27分の自己ワースト記録。右膝の痛みやふくらはぎの肉離れなどが出て走ることすら難しくなったこともあって、もう歳かなー、と半分諦めの心境でした。その上、膝の痛みが酷い時に始めたロードバイクの面白さが分かってきたことから、自分の中ではランニングはもういいかな、と思っていた時に出会ったのが、この本でした。

みやすのんき、と言う名前は、ずいぶん昔に少年ジャンプを読んでいた時から知ってはいたのです。でもまさか50代に入ってから一念発起して走り出し、私にとっては「雲の上」のサブ3と達成したとは知らなかった。そしてそれがマンガ家らしく人体の動きを分析し、速いランナーの動き方を理解することによって正しい走り方ができたからだ、ということに強い興味を覚えました。そして読んでみて目から鱗がポロポロと落ちた感じがしたので、ここにメモとして残しておきます。

この本のサブタイトルは「遅く走り始めた人ほど大切な60のコツ」なのですが、この「60のコツ」のうち特に「目から鱗」だったのは次の5つ。

03) 走る時に体幹をひねる意識は持たない
06) 骨盤を意識して走ってみよう
11) 足は振り子運動ではなく上から回す
10) シザースドリルの意識を常に持つ
13) スピードはピッチでなくストライドで調整する

この中で03と06はほぼ同じ。走る時には身体をひねるのではなく、骨盤を前後に動かすつもりで走る、と言うことです。みやすさんは「骨盤は身体の中にあるものなのでその外の大転子を意識する」とも書いているのですが、そこは同じことの別の表現でしかない。とにかく腰をひねることで足を動かすのではなく、骨盤を動かすことによってその外側に接続されている足を振る、と言う意識は極めて重要です。

そして骨盤が前に動くことによって動いた足をどう着地させるか、と言う点で重要なのが11。この動きによって足裏がまっすぐ接地して、身体を上下に貫く「軸」が地面からの反力を受けることができるのです。このことは、次のポイントにも関係します。

26) 足の振り戻しは骨盤の切り替えで起きる

人間が歩いたり走ったりする時には骨盤の前後は自然な動きで、骨盤に繋がっている足は骨盤に引っ張られて大転子を軸に前後に振れます。歩く時はその自然な「振れ」で十分なのですが、速く走るためには骨盤の動き始めに合わせて素早く足を動かさなければならない、と言うのが私の理解です。このポイントは

22) 着地手前の振り戻し動作が大切

とも関係する、と言っても良いでしょう。

そしてこれらに加えて更に重要なのが10と13。着地した足からの反力で前に進むためには、強くかつ速く伸長された筋(腱)がその弾性エネルギーと筋内の受容器である筋紡錘の伸張反射作用により、直後に強くかつ早く短縮される必要があります。このような筋肉の連続的な伸び縮みの反応をSSC〜ストレッチ・ショートニング・サイクル〜と呼ぶのですが(このコツをストレートに書いたのが、「35) SSCで弾性エネルギーを狙え」)、足をゆっくりと回転させのではSSCを上手に使うことはできません。接地前に反対足をまたぎ越すような意識で足を動かさなければ、筋肉の伸縮反応を使って走ることはできないのです。

みやすのんきさんによるとSSCを使って走る時には180歩/分で足を動かす必要があるとのこと。これは速く走る時もゆっくり走る時も同じで、走るスピードはピッチを維持したままスタンスの大小によって調整します。これを別の言い方をすると

12) スロージョグとレースの時に使う筋肉は違う

になります。レースを意識するのであればのんびり足を動かして練習するのではなく、常に180歩/分を基準にトレーニングしなければならない。つまりこれまで私がしていたような160歩/分程度のペースではレースの練習にはなっていない、と言うわけです。2013年にフルマラソンのベストタイムを出してから記録が伸びなかったのは、レース用の練習をほとんどしていなかったから、と考えれば納得できます。

実際にこの本を読んでから骨盤の動きと180歩/分のピッチを意識しながら走っているのですが、1時間半程度のランニングでも太ももが張ることが実感できました。考えてみれば2013年前後のフルマラソンでも終盤に太ももの痛みでペースが上がらない、と言う経験が多かったのですが、それはたぶん、レース用の筋肉が悲鳴を上げていた、ということなのでしょう。これらの説明を見て自分で試してみて、初めて走るために必要な筋肉はどれか、ということが分かったような気がします。

ところでフルマラソンの記録が伸び悩んでいたと言うことで、いろいろ読んでフォーム改造を試みてみました。その一つが踵ではなく足の前の方で着地する「フォアファット着地」だったのですが、これについては次のように書かれています。

17) フォアフット着地は誤解されている

つまり世間に流布されている「常識」にとらわれるな、と言うことなのですが、私は完全に囚われていました。特にこれまで買ったランニングシューズの全てが踵の外側から減って行くことから、きっとここに無駄があるのだ、と思い込んでいたのでいて、ここ数年間はかなりフォアフット着地を意識して走っていたのです。そしてその結果は、というと今年の4月のみぎふくらはぎの軽い肉離れ。これまでは後ろに蹴って走っていたため膝から下の筋肉を使い、「フォアフット着地」を意識すればするほど膝下の筋肉に負担をかけていたのだと思います。この、上記の11の別の表現が

38) 膝より下はただ置きに行くだけ
21) 足裏はまっすぐ着地し離地する意識を持つ

だと思います。これまで膝の痛みに悩まされていたのは、着地の衝撃を体全体で受け止めるのではなく、膝に無理な力がかかっていたからかも知れません。実際に上のような走り方を意識してランニングするようになってからは、膝のプロテクター無しで走っても痛みを覚えることは無くなりました。

またもう一つ誤解していたのが、「一軸走法」についてです。これは速く走るためには右足と左足が一本の線の上を辿るように着地する必要があって、そのためには身体をひねって足を出す必要がある、と言う意味だと思っていたのですが、みやすのんきさんによると意識的に「一軸」にする必要はないそうで、それを次のように表現しています。

04) 大腿骨のQアングルゆえに走行ラインは一本線に近づいて行く

また腕振りに関しても、肘を後ろに引いて腕を大きく振ることによって足を動かすのだ、と思っていたのですが、

47) 肘を大きく引くから足が大きく前に出るわけではない

と書いています。考えて見れば当たり前で、人間の身体は腕の筋肉と足の筋肉が連動するようにはできていないので、腕を振ることによって足が前に出る、と言うことはありません。この点については私は誤解していた、と言うよりも「腕を振ったからと言って足が動くもんでもないよなー」と思っていたので、

43) 腕振りは上半身の制振装置

と言うコツは非常にしっくりと胸に落ちました。

因みにみやすのんきさんは、自分がどのように走り始め、サブスリーを達成するに至ったかを次の本に書いています。

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若い頃は「運動オンチ」で、44歳で初めて挑戦したマラソンはタイムアウト。翌年参加した第一回東京マラソンも完走したとは言え6時間の制限時間ぎりぎりで、「自分にランニングなんて向いていない」と思ったそうです。しかしそれで止めてしまうのではなく、7年後に挑戦した大会では85kgだった体重を68kgまで落として走ってネットタイム3時間30分17秒の記録を出して、それから1年半後にサブスリーを達成したとのこと。いくら「正しいフォーム」で走ったからと言って誰でも同じようにサブスリーが達成できるとは思えないのですが、しかしこのような実例は市民ランナーに勇気を与えます。一時は記録更新を諦めていた私も、もしかしたらサブ3.5ぐらいは狙えるのではないか、と言う気がしてきました。

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