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2005/08/12

模擬授業しました

先日も書いたように、昨日と今日は京都大学のオープンキャンパスの日。その中(理学部企画の中)で、今年は私が「模擬授業」を担当して高校生に向かって45分2本の講演を行いました。

選んだタイトルは、「やわらかな物質の物理学」。固体ではない物質(いわゆる「ソフトマター」)を、物理学的にどのように理解するか、と言う話です。模擬、とは言え大学生向けの授業をそのまま話すわけにはいかないので、今回のためにほぼゼロから話を起こすことになりました。

その結果、私が選んだ筋はこんな感じ。

(1) 物理学とはどう言う学問か。アインシュタインから出発して素粒子物理から宇宙物理までの対象が広がっていること、その中で物理学は「ものごとの根本原理を明らかにする学問」であると説明。

(2) 「物質」を対象とする物理学=物性物理学。特に20世紀は金属や半導体などの「固体物理の世紀」と言って良く、現代文明はこれによって成り立っていると言ってよい。

(3) 身の回りを見てみると、金属や半導体に限らず様々な物質がある。その中で、固体以外の物質(高分子や液晶など)の理解が、最近の技術の発展に重要だということ。

(4) 一例として、液晶を取り上げる。液体と結晶の中間の「秩序」を持つことが、どのように有効に働いてディスプレイとして使われているのか、その原理について。

(5) 「やわらかい」と言うことは力学的な応答として理解できる。固体の示す性質=弾性と、流体が示す性質=粘性について説明し、その中間の性質=粘弾性について解説。

(6) 粘弾性体の例として、スライム(ポリビニルアルコールゲル)を紹介。流体的性質と、弾性体的性質を映像で示す。

(7) 高分子と高分子ゲルについての説明。そして、スライムがなぜ粘弾性を示すのかを示す。

(8) ソフトマターの多くが粘弾性を示すこと。いろいろな空間スケールの構造があり、それぞれが違う動きをすることが本質である、と説明。

(9) ミクロを解明する物理学から複雑なものを対象とする物理へ。その守備範囲は生物まで広がりつつある。

昨日1日と今朝まで使って(妻の協力まで得て)準備したわけですが、その甲斐あってか私の話は高校生たちにも一応ウケた模様。寝ていた子も少しはいましたが、真剣に聞いてくれた生徒が多かったように思います。話し終わったときには思わず?拍手が起きてましたし、後で何人かから評判を聞いたら「面白かった」との感想が多かったようです。私が20数年前に京大理学部を受験したときには「物理=湯川・朝永=素粒子」と言うイメージで固まっていたのですが、今日の話で少しは頭もやわらかくなってもらえたでしょうか?

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コメント

おつかれさまでした。
私も聴きたかったです。
若者に「面白さ」を伝えるのはとっても大事な仕事だと思います。
でんじろう先生の面白さも必要でしょうが、「面白い」だけで終わってしまってはいけないわけで、「実験」と「机上」をうまくバランスして伝える技術が重要だと思います。

投稿: aran | 2005/08/15 00:37

機会があるならどこにでも話に行きますので、何かあったらご連絡ください。せっかく気合いを入れて準備したのに、2回話しただけで終りというのはしょうしょうもったいないので。

投稿: 瀬戸秀紀 | 2005/08/16 12:21

PCレターで高校生向け物理入門コンテンツのシリーズ第一弾
ってのはどう?

投稿: aran | 2005/08/17 23:26

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