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2004/06/05

そんなにトップダウンがいいんですか?

国立大が法人化されて、2ヶ月が経ちました。その間に出てきた矛盾はますます深まるばかりで、解決の見込みも立たないままに混迷しています。その際たるものは予算の問題で、削らない、と言う国会での付帯決議もなんのその、「運営交付金」もなんやかんやと難癖をつけられて削られて、今や学内は青色吐息の状態です。

法人化に伴う問題は、大学のシステムにも影響を及ぼしています。これまでの大学は「教授会自治」が基本。大事な問題は学科で議論し、学部でまとめて全学で持ちよって、学部長などの各部局の代表者で構成する評議会で調整して決定する。もちろん学長も構成員の選挙で決める。そう言うボトムアップのシステムがあって、一応それが機能していたわけです。

ところが、法人化ともなるとそう言うかったるいシステムでは間に合わないわけです。(のだそうです。)大学にも「経営」のセンスが必要だ、とか言うことになって、学長とその周りの取り巻き(理事会、とか言う名前が付いているようですが)によるトップダウンの運営がなされるわけです。これまで議論、議論でなかなか決まらなかった事柄が簡単に決まって、すぐに実行できる。一見良いシステムのようにも見える?のですが、しかしそれがマユツバものであることはすぐに露呈します。

一例を挙げます。大学には「助手」と言うポストがあるのですが、文系では学部や大学院を終えたばかりの学生を採用して「腰掛」のように使うことが多く、また他大学などで非常勤で稼いでいる人も多いと聞いています。それが理系では全く違います。医学系や工学系では助手は教授の「手足」となって、教授の研究の手伝いから学生の指導までまるで奴隷のように働きます。一方理学部ではほとんどの助手が博士号を持っている一人前の研究者で、教授や助教授よりも研究業績が上の人もたくさんいるのです。

ところが、この助手制度の「改革」をトップダウンでやると、学部や分野の違いには斟酌しないわけです。例えばO大学では助手は全部「特任講師」と言う名前の任期付きポストにして給料もこれまでの半分にする、と言うことを決めたそうですが、これなんて明らかに文系の人たちの発想です。一人前の研究者としてdutyをこなしつつ空き時間に研究を進めている理学部の助手とは全く整合しないのは明らかです。

一事が万事。この助手の問題は、氷山の一角でしかありません。大学の執行部は学部や分野の違いについてはほとんど知らないので、どう考えてもおかしなやりかたを押しつけて平然としていることが多いように思います。もともと教育も学問も、「即効性」がないのが当たり前。それを担うべき大学に効率を導入しようとしたってうまく行かないのは当然なのだ、と思います。政府と文部科学省は日本の学問を潰したいのか。そう言う「悪意」のようなものを、感じてしまうのです。

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