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2004/05/10

Winny開発者逮捕

今日、データ交換ソフト"Winny"の開発者の東大の助手が逮捕されたそうです。どんなソフトもただの道具。道具を作った人が悪いわけではなく悪用した人が悪い、と言う議論もあるようです。しかしそれは違う、と私は思うのです。

大学の研究者は、真理を追求することを条件に社会に雇われている、と言って良いと思います。個々の研究者の興味や関心の対象は千差万別ですが、少なくともその分野では自分が一番良く知っている、と言う自負を持って仕事をしています。それがあるからこそ真理を追求できる。逆にそれがなければ「専門家」とは言えないわけです。

誰よりも良く知っている、と言うこと。だからこそ社会から認められている、と言うこと。この2点が、研究者の存在価値そのものです。そしてそこには必ず責任が伴います。要するに、論理的に予想できる結果に対する責任です。科学研究者は単に分かっていることを解釈するだけではなく、新しいことを導くような正しい予想をすることが仕事ですから、もし自分のやったことが社会に対して悪影響を及ぼすことを予見できなかったら、それ自体が「罪」である、と言っても言い過ぎではないのだ、と思います。

アインシュタインは、ナチを倒すためと言う名目で、アメリカの原爆開発に協力しました。しかしその結果は、広島と長崎の悲劇。アインシュタインは結果的に自分が原因を作ってしまったことに責任を感じて、晩年は反核と平和運動に貢献しました。これは単なるボランティアの精神ではなく、科学者として予見可能な事に対して正しい判断を下せなかったという、自分に対する責任の果たし方だったのだと思います。

と言うことで、私のWinny開発者に対する判定は「有罪」です。自分が作ったソフトが著作権を侵害するとは考えられなかった、と言うのは普通の社会では通用する言い訳かもしれませんが、研究者の中ではアウトです。もし本当に予見できなかったのだとしたら、それは研究者としての自分の未熟さを示すことになる。そして自分自身が社会に生かされている存在意義を否定することにもなるのです。

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