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2004/02/16

東大・京大神話

昨日は東大・京大に生徒を送り込む「難関高校」の事を書きましたが、そのバックグラウンドにあるのは何か、と言うと言うまでもなく「東大神話」でしょう。東大に入りさえすれば、その子供は幸せになれると言う思い込み。それがあるからこそ、東大入学のために最適な道として難関高校へ、あるいはそこにつながる中学校や小学校、はては塾への入学を目指すわけです。

では、本当に東大や京大に入ったら幸せになれるのでしょうか。別に私は、東大や京大がいい大学でない「ふり」をするつもりはありません。「全国の大学関係予算の半分を東大が、残りのうち更に半分を京大が使っている」と言う伝説があるように、この2つの大学で使われる国費が非常に大きいのは事実です。従って平均としてはやはりこれらの大学は他に比べて施設も充実しているし、また質の高い研究者が揃っているのも確かでしょう。大学の質を「測定」する指標はいろいろありますが、そのどれを取ってもこれらの大学が上位に行くのは間違いありません。

しかし、研究のレベルが高いということと教育の質が高い、と言うことは、関係があるにしろイコールではありません。むしろ研究熱心な先生ほど教育には手を抜く、と言う傾向すらあります。少なくとも私の知る限り、教育熱心な地方大学や私立大学の先生はたくさんいますし、実際に良い学生を育てています。学生が良い教育を受けるためには、ほったらかしの傾向が強い東大や京大を選ばない方が良い、と言っても言いすぎではないように思います。

ただ、こう言う話をすると必ず「でも、社会は学歴で判断するから」と言う人がいるわけです。東大卒の肩書きを持っていた方が、社会に出たときに有利ではないか、と。確かに、それはその通りかもしれません。でもどうしても「東大」が欲しかったら、大学院に行けば良いのです。十年ほど前、文部省は「大学院重点化政策」を推し進め、東大を筆頭とする多くの大学が大学院の定員を大幅に増やしました。これによって大学院の枠が広がり、東大でも京大でも多くの研究科で定員割れを起こすほどになっています。すなわち大学に入るよりも遥かに少ない苦労で、東大の大学院に入ることができる時代になっているのです。

高校生までの頭のやわらかな時期に猛勉強することは大切だ、と私も思います。その勉強の量と質をチェックするために入試があり、それに向けて勉強する事もまた、否定はしません。しかし、それはあくまで自分の力を高めることが目的のはずです。将来何らかのプロフェショナルになるために、頭の訓練を積み重ねるのが目的なのです。それが「東大に入る」と言う一見有意義で、実はあまり意味のない目的に矮小化してしまっているからこそ、昨日書いたような妙な入試がはびこる事になるのではないか。私はそんな気がしているのです。

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コメント

今日の日経の朝刊は読まれました?
東大・京大神話というのは、理系から崩れていくんじゃないでしょうか。

投稿: attorney | 2004/02/16 21:45

せと☆ひできさん、attorneyさん、こんにちは。
さて、「東大・京大神話」ですが、いま現在、受験生をやっている人たちや保護者の方にとっては、「大学の実情」が知らされる機会って本当に少ないのです。
先日、私ある有名校の受験会場に行きましたが、そこにいたお母さんたちは、今年の四月から大学が法人化することをご存知なかったのです。
実際の大学での研究環境、あるいはシステムなどは、本当にニュースになることは少ないのです。
分っていることは「偏差値」だけなのです、、、
この問題を考える時「神話」を作った神は果たしてだれだったのか?、、、も考えたらなかなか面白くて案外一冊の本になるかも、、、
私も仕事柄、このテーマはこれからも追求していきたいです。

投稿: せとともこ | 2004/02/17 11:23

昨日の日経新聞朝刊の記事、と言うのはネット上で読めるのでしょうか?ちょっとNIKKEI NETを調べてみたのですが、見つかりませんでした。

大学の実情、普通の人は知らないでしょうねー。マスコミ自体が知らないのではないか、と思う事も多いので。今、国立大の法人化以上に揺れているのが東京都立大と横浜市立大の「改革」なのですが、あまりの異常さに呆然となるほど。しかし、これも世間ではほとんど話題になってないように思います。

投稿: せと☆ひでき | 2004/02/17 12:52

お受験ママのための大学実情BLOG を作ればヒットするか?

投稿: aran | 2004/02/18 00:56

はじめまして、いつもDiary読ませてもらってますMONです。
東大・京大神話読ませていただいたのですが、なんかすごい違和感があります。

いちおう中高一貫の学校から大学に行った身なのですが
実感値からいくつかコメントさせて(?)ください

実際去年就活してたんですが、もう学歴で判断する時代は終わったそうです。ただ、結果として、いいなと思う学生の割合がやっぱりいわゆる上位校に多いのだそうです。
もちろん、どんな大学の学生だろうが優秀なやつはホント優秀です。ホント学校なんて関係ないです。

で、東大(京大も)入試なのですが、そんな単純に猛勉強をしたからって入れる大学じゃない気がします。
まわり見ても、先生(とか親)などにこれを勉強しろと言われてした勉強をした人間より、自分で足りないところはどこ?とかこれをしないといけないと自分で判断して勉強した人の方が受かった人は多かった気がします。

なんかもっと上手くいえそうなのですが、とりあえずもそっとまとめてみます・・・

投稿: MON | 2004/02/19 01:31

MONさん、書き込みありがとうございます。

「神話」は存在しないのに信じている、と言うことだと思います。東大卒なら評価されるというわけではないのに、幸せになれるとは限らないのに、東大に入るために血道を上げる。そこが問題なんじゃないでしょうか、と書いたつもりです。また、本人が自分で考えてしっかり勉強すれば東大でもどこでも入れるし、将来につながるものだと思います。だからこそ、別に無理に難関高校に入らなくてもいいんじゃないか、と思うのです。

投稿: せと☆ひでき | 2004/02/19 08:39

昔の投稿にいきなり初めての私がコメントをつけるのも申し訳ないのですが、とても気になって「お気に入り」に入れていました。、というのは子どもの通う学校名で検索したらここに辿り着いたからです。当の高校入試は内部生にすれば定期試験より難度が低かったと言っていました。公立中学とは進度が違うこともありそう感じるのでしょう。
親として実際に試験問題を解いてみないのでそんなに難しかったのかどうか実感は湧きません。何故外部の方が難しく感じるかと言えば、単にそういう問題に当たった経験がないからだという風にも感じます。

東大神話に関してですが、似たような意見を耳にすることがあります。おっしゃるとおり難関な受験勉強であくせくするのが嫌ならば、本当に学びたい方は大学院から東大へ行けば何も問題はないでしょう。けれども学風というかその大学に進む学生の雰囲気の中にいたいなどの理由で、大学から東大に行きたいと望む方がいても不思議じゃないと私は思います。

出世の為に一流大学に行きたいと純粋に望んで合格を果たす人は私は少ないとも思います。本人の少なからぬ学問的な興味がなければそこまで学力を高めることは難しいと感じるからです。

そういった意味でMONさんの意見に私は賛成です。

投稿: uguisu | 2004/03/25 13:03

私の体験(京大薬学部卒)から少し言わせてもらいます。私の高校は大阪府立大手前高校で、昭和45年卒業です。大阪では京大御三家の高校は、当時、北野高校、大手前高校、天王寺高校で、毎年100人ほどが京大に入学していました。大手前高校では過去の長い実績から、校内模擬試験の点数と進学大学がいちらんできる冊子が配られてまして、それをみると大学の入学難易度がすぐわかるようになってました。私は、当時、学年で450人中30番前後にいて、このあたりの人はほとんど、京大にはいっています。ただ一部の5,6人ほどが東大に進学しています。私の当時は、国立大学の授業料が年間1万2千円で、私立でいちばん安かった立命でも文系で20万円を超えてましたから、成績上位の人は私立大学にはほとんど、目を向けていなかったと思います。

投稿: tamachan | 2005/03/01 12:57

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